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第12話天国か地獄か
「大学実家から通えないから健人、一緒に住もうよ」
まだセンター試験さえも受けてない12月の初め、
陸が学校の帰り道に突然そう言った。
俺は頭が真っ白になってすぐ返事が出来なかった
「健人聞いてる?」
陸は並んで歩いていて前を向いていたが、反応のない俺を不思議に思い俺の顔を覗き込んで不満そうな声を出した。
「き、聞いてるよ。でもまだ受かった訳じゃないし」
「俺はA判定だしお前はB判定だけど、大丈夫でしょ。だから一緒に住もうぜ」
「嫌だよ」
「は?なんで」
「だって・・・お前彼女出来たらどうするの、家に上げられたら嫌だし。」
「あー、そっか」
「・・・・別々で借りて近くに住めばいいだろ?」
「そうだよな。お前も彼女出来たら、家に連れ込めないしな」
「俺は!」
「俺は?」
俺は彼女なんて作らないよ
お前がこれからも好きだから
そんなこと言えず
「俺はそんなことしない」
そう答えた
「お前だって大学入れば彼女くらい出来るだろ?そしたらやりまくりだろ」
「やっ、やりまくりって・・・お前外でやめろよ」
「お前モテないわけじゃないんだから。この前告られてただろ」
「え?」
「山田がたまたま通りかかったみたいでさ。健人が理科室の奥の階段で告られてるの見かけたって。1年の時同じクラスだった石森だよな?付き合うの?」
「・・・そんなんじゃないから」
「お前石森と仲良かったしあいつ可愛いじゃん」
「俺はお前と違って好きでもない子とは付き合えない!」
────俺はお前が好きなんだよ!!
言えない気持ちを頭の中で叫びながらイライラして陸に嫌な言い方をしてしまった
「あ、ごめん」
「いや、ほんとの事だから」
んー!
陸が伸びをしながら
俺の少し前を歩いて
しばらくして振り向いた
「俺、もう好きな人としか付き合わないって決めたんだ。」
「・・・・・」
「誰も家に上げないからさ、一緒に住もう」
「・・・うん」
俺の未来は天国か地獄か
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