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第14話

石森奈緒と俺は1年の時同じクラスで同じ美化委員だった。 陸は隣のクラスだったけど、休み時間には俺の席に当たり前のように遊びに来ていた。 「ずいぶん仲がいいのね」 教室のゴミをまとめて重たくなったゴミ箱を一緒に運びながら、石森が落ち着いた声で言った。 「小田陸?まあ、幼なじみだし」 入学してすぐのクラス内でのジャンケンで負けて美化委員決まった俺と石森は、定期的にある作業の度、一緒にいる事が多くなった。 俺は必要がないとあまり女子と話さなかったが、 石森は他の女子とは違う落ち着いた雰囲気を身にまとっていて自然と話を出来る異性だった。 学校のゴミをが集まるゴミ庫まで歩く裏庭に来た時 石森がごく自然なトーンで俺に聞いた。 「木田くん、彼が好きでしょ」 ザザザ・・・と少し夏の香りがする風が、強めに吹いた。 「え?」 「あなたは小田くんを愛しているでしょ?」 「い、石森?・・・何言ってる・・・そんなわけ!」 「隠さなくても大丈夫。私は誰にも言わないわ。・・・彼といる時、木田くん気持ちが溢れてる。私には分かるのよ」 石森は馬鹿にするわけでもなく、興味本位で言ってる感じでもない。 ただ淡々とゆっくり話し続けた。 「私も誰にも言えない秘密を持っているからわかるの。だれにも分かってもらえない秘密。・・・私、担任の川村先生と付き合ってるの」 石森は俺の目を真っ直ぐ見つめてふわっと笑った。 普段は笑わず何を考えてるかわからない表情で1人だけ大人の雰囲気を纏う彼女が その時は柔らかい、年相応の女の子の顔をして笑った。 その日から 俺と石森は 誰にも言えない秘密を共有することで 高校3年間やるせない気持ちを抑えてきた。

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