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第15話

それから俺達は、美化委員の仕事の時に お互いの普段言えない秘密を話し合った。 ずっと自分の中で抑えてきた気持ちは、人に話すとすーっと楽になった。 昔から、陸を好きになってからこの気持ちはいけない感情なのだと思っていたから・・・・ 誰にもわかってもらえない、消さないといけないけど消せない気持ち。恋愛感情が捻れて絡まっていく・・・・それが、するっとほどけたような。 陸への想いを人に話したことなんてなかったから、石森に話した時、しばらく涙が止まらなかった。 「悪いことなんてないわ。好きな気持ちは素敵なことでしょ?あなたが好きになった人がたまたま男だった。それだけよ。 私も彼を好きになった。たまたま先生だっただけよ。」 川村先生は石森が中学生の時通っていた川村音楽教室の息子さんで、当時から高校の音楽教師だった先生は、休みの日はお母さんの音楽教室を手伝いピアノを教えていたらしい。 石森は川村先生のピアノを弾く姿に惹かれて それから猛アタックの末、結ばれたんだそうだ。 でも当時石森は中学2年生、先生は25歳の高校教師 。彼女が高校に進学すると、神様のイタズラだろうか、彼女の担任になった。 前に石森に「違う高校に行けば良かったんじゃないの?」と聞いたことがあった。 「学校が違っても女子高生と教師には変わらないわ。どの道許されない恋なら、雪くんの近くにいたいもの」と、ふふふっと笑った。 彼女が柔らかく笑う時は、川村先生の事を考えてるときだった。 「どうしてあの時、俺に秘密を打ち明けたの?」 「木田くんが小田くんの事を好きだと気が付いたときに私、この人なら分かり合えるかもって勝手に思ったの。ずるいのよ私、秘密を無理矢理共有させて・・・好きでいてもいいんだって言い合える仲間が欲しかったのかも」 石森は申し訳無さそうにそう言ったけど、 俺は凄く救われた。 高校2年生になってからは 石森とクラスが離れてしまい、あまり周りにこの関係を知られたくなかった俺達はメールと電話で連絡を取り合った。 どうしても会って話したい時は、高校から離れた町のカラオケルームで落ち合って秘密を共有していた。

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