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第18話クリスマスの夜に
今年はクリスマスイブが日曜日だったので
昼から陸の家で勉強して、夕方うちの両親も来てみんなでクリスマスパーティーをした。
うちの両親は明日仕事だからご迷惑にならないうちにと先に帰り、俺達は切り分けられたクリスマスケーキを持って陸の部屋に移動してテレビをつけた。
「ケーキなんて久しぶりだな」
「俺も。あれ、去年食べたっけ?」
去年はどうだったっけ?
あ、去年は平日だったな、親も仕事で遅かったから
コンビニのおでんと1人用のケーキを買って食べたんだっけな。
「陸は彼女とデートだっただろ」
「あー、そうそう。で、別れたんだっけ」
ショートケーキのイチゴをフォークで刺し、口元に運びながら陸は他人事のように言った。
「なんでまたクリスマスイブに」
「彼女を好きになれなくて悪いなって。これ以上一緒にいたら失礼だなって思って別れた」
・・・・・
クリスマスに振るほうが失礼な気もするし
そもそも好きじゃないのに付き合うとかどうなのと思うけど・・・
陸は付き合ったら好きになれるかもと思って毎回付き合ってみるらしいから陸を好きな女子にとっては告白して振られるよりはチャンスを与えられるからいいのだろうか。。
どちらにせよ不憫な気もするが
でも好きになってもらえなくても
陸の彼女になれてキスやセックスもしてもらえるなんて俺には羨ましくてしょうがない
「今まで本気で好きになった子っていないのか?」
「結局付き合った子は好きになれなかったけどね。
今はいるよ、本気で好きな人」
ドクン
「え」
───誰とは聞けなかった
陸に本気で好きになる相手ができる
いつかそんな日が来るとは思っていたけど
「一緒にいると楽しいしほっとするし安心する。誰にも取られたくない。好きなんだ。ずっと一緒にいたい」
ドクン
ドクン
これはまずい
今までは誰かと付き合っても
陸は俺といるのが1番いいんだって、どこかで離れていかないって高を括っていたんだ。
でも今回は違う
陸が離れていく
本気で好きな人に行ってしまったら
陸が俺から離れていく
陸が俺から離れていくなんて考えられないし辛い
なんの為に今まで隠してきた
もしこの気持ちを伝えて関係が壊れて陸が離れていくのが耐えられなかったからだ
一緒にいられるならと好きな気持ちを隠してきた
どの道、陸が離れていくなら伝えたい
「お、俺も」
俺は腹を括った
「俺も好きな人いるんだ、実はずっと前から。
その人に受験終わった日に告白しようと思ってる」
「・・・・・そっか、お互い受験終わってからが勝負だな」
陸のケーキを食べる手が止まって俺の目を真っ直ぐみた
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