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第3話
先輩が期待した目で俺を見つめるから、俺はわざとべっと舌を見せる。
そしたら先輩の目が欲情の色を見せた。
「どうしてほしい?」
「ど、どうしてって……」
「言わなきゃ分かんないよ?」
「…………っ」
本当は分かってる。
めちゃくちゃにしてほしいんでしょ?
でも言わせたいんだよなぁ。
「む……」
「む?」
「胸とお尻、同時にシ「お待たせ〜♡あら?」……」
「「…………。」」
最悪。
「麗子ママ、空気読めなさすぎない?」
「えっ?えっ?」
麗子ママを思いっきり睨むと、麗子ママは先輩を見てハッとした顔をする。
「ごめんなさいっ!ダメだったわよね?!出直すわねっ!」
そうだそうだ。邪魔すんな。
そう思っていたのに、先輩は俺の下から逃げ出して、麗子ママの手からお酒を奪う。
「い、いいです!お酒もらいます!!」
「あ、待って!綾ちゃん、それは……!」
麗子ママの待ったは遅く、先輩はグビグビ酒を煽った。
ダメって言ったのに…。
「なんかふわふわする…」
「あらぁ…。」
「麗子ママ、先輩飲んだの何?」
「うちで一番度数高いお酒よ。アレは夏くん用に持ってきたのに…。」
「マジか。」
寄りかかってくる先輩を抱き止めて、ソファに寝かす。
この人、いつになったら自分がお酒に弱いと自覚するんだろうか?
「頭痛い……」
「自業自得ですよ…。飲む前にちゃんと度数確認しなきゃ。」
「ごめん…。ちょっと休む…。」
「はいはい。」
膝枕をしてやりながら、頭を撫でる。
俺が膝枕するのなんて、先輩だけなんですからね?
分かってるよな?俺が先輩にだけ甘いってこと。
「先輩、寝てもいいよ?」
「うん……。悪い………。」
「大丈夫。責任持って連れて帰りますから。」
「綾ちゃーん、ごめんなさいね。」
「俺の方こそ、ごめんなさい…。」
一応反省はしているらしい。
先輩は「頭痛い…」と呟きながら眠ってしまった。
氷枕の上に先輩の頭を乗せて、俺は食器類の片付けを手伝うことにした。
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