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第5話

トイレで用を足していると、ガチャンッとドアが開いた。 「わぁ〜!変わんないねっ♡」 「はぁっ?!」 俺のペニスをまじまじと見ているのは、さっき追い出されたはずの那瑠だった。 俺は急いでズボンを履いて、モノを隠す。 「何なんだよ!帰れよ!」 「やだ♡だってナツとまたシたいんだもん♡」 「無理だから。俺、恋人がいるから。その人としか無理。」 「やだ〜!なんで?あんなに相性良かったじゃん!!」 しつこい。 こいつは昔からそうだ。 セックスのときもそうだ。しつこいし頑固。 あと、すげー我儘。 「おまえより何十倍も何百倍も何千倍も、先輩との方が相性いいから!」 「ふーん?先輩なんだ?」 「どうだっていいだろ。」 「僕の方が若くて体力もあるけど?」 「あのなぁ…、そもそももうお前じゃ勃たねぇんだよ。」 「へぇー?試してみなきゃ分かんなくない?試そ!」 「無理!!」 ウゼェ…。 頭のネジ何個か足りないだろ、コイツ。 「ねぇ〜!お願い!じゃあチューしよ?チューして勃ったらシよ??」 「だから勃たねぇって!」 「ねぇ、いいでしょ?」 「ダメだって。無理だから。」 「そんなこと言って〜。僕にだけ特別だったじゃん?」 何が特別だよ? いや、特別だったか? たしかに他のセフレとは違ったかもしれない。 でもセフレはセフレ。 那瑠のことを愛おしいと思ったことはないし、体の相性良かったから続いただけで、本当にただそれだけ。 「んっ♡」 「?!!?」 一瞬の気の迷いが仇となった。 那瑠の唇が俺の唇と重なり、そしてちょうど同時にトイレのドアが開いた。 「城崎……?」 「先輩……っ?!」 「な……んで……?」 そっと中を覗いた先輩は、俺を見て一瞬固まった。 目が泳いで、言葉を詰まらせている。 「あ…、えっと……」 「先輩、誤解です!!」 「悪い…。邪魔したな…」 「先輩!!」 先輩は脱兎の如く逃げ出した。 絶対誤解された。 今すぐ追いかけて弁解しないと。 急いでトイレから出ると、店までの廊下で先輩が倒れていた。

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