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第51話

「それと、距離置くのもうやめでいいですか?明日から珈琲淹れていいですか?もう少しくらい話しかける量増やしていいですか?あー、あとご飯また持って行ってもいいですか?」 あ、やべ…。 さっき先輩の話聞こうって思ったばっかりなのに、俺また……。 『ふっ…ふふ(笑)多すぎ…(笑)』 「……!!!」 先輩の堪えきれないように笑う声が聞こえてきて、俺は途端に嬉しくなった。 先輩の笑い声、懐かしい。 「その笑いはいいってことで捉えますよ?」 『うん…。いいよ。』 いいの?! 距離を置くのはもうやめ? 明日から珈琲も淹れていいし、話しかけるのもいいのか? 飯も食ってくれるってこと? やべぇ…。 あー、待って。俺今日死ぬのかもしれない…。 「………大好き。先輩、早く会いたい。」 『うん…。俺も…、会いたい…。』 ?!?!?!!! 今、先輩会いたいって言った?! 待って、録音してない!待って?! 「………待って、明日先輩見たら抱き締めちゃいそう…。」 『みんなの前だからダメ。……てか、もう切るぞ?ホテル、本当にありがとな。』 「あ、先輩待って!もうちょっとだけ…!」 ツー、ツー…。 「切られた……。」 切られたのに、舞い上がりすぎてヤバい。 先輩、会いたいって言ってたよな…? 幻聴じゃないよな…? それに、抱き締めそうって言ったら、みんなの前だからダメって…。 二人ならいいってこと?? いや、さすがにそれはご都合解釈すぎるか…? でも、どうしよう……。 「やべぇ……。」 両手が喜びで震えてる。 てか、こんなことしてる場合じゃない。 料理…!作らなきゃ。 先輩の好きなもの、たくさん持っていこう。 そのための食事なしプランだし…? 俺の前で食べてくれたら一番嬉しいけど、そんな高望みはしないでおく。 食べてくれるだけで嬉しい。 今度は前みたいにぬか喜びになりませんように。 先輩、絶対に逃しませんよ。 初めてアタックした時のような、今から勝負事をするかのような決意。 明日が楽しみで楽しみで、嬉しいことがあったのに夜はなかなか寝付けなかった。

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