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第58話
午後も長々と商品説明をし、先方は前向きに検討して近々返答をくれるということで、今回はお開きとなった。
今日から二泊するホテルに行き、チェックインを済ませる。
ちゅんちゅんと明日からの作戦会議をして、終わったので部屋から追い出す。
「何でですか?!一緒に夕食食べに行きましょうよ!」
「いい。コンビニで済ます。」
「大阪まで来て?!意味わかんないです!やだ!俺のご飯付き合ってくださいっ!!」
「嫌。俺用事あるから。」
「用事って何の用ですか?」
「先輩と電話するんだよ。だから出てって。」
恋人との通話。
俺にとっては何よりも優先すべき大切な予定。
できるかわからないって言われたけど…。
「え!望月さんとっ?俺もしたい!」
「無理。」
何で貴重な時間をちゅんちゅんに邪魔されなくちゃいけないんだよ。
つーか、先輩大丈夫かな。
柳津さんとだから、ハメ外して飲みすぎてるかも…。
先輩にメッセージを送ろうとして、一旦手を止める。
あんまりしつこいと嫌われるか…?
柳津さんに送るか。
『先輩に飲ませてないですよね?』
少し待ってみるけど返事が来ない。
まだ19時。
ちょうど今居酒屋に着いたくらいだと思うんだけどな。
『おい、無視すんな。』
『先輩の写真送って。』
5分おきにメッセージを送る。
全然返事ねぇし…。
「しーろーさーきーさんっ!!ご飯行きましょうよ〜。」
「だから無理だって。」
「だって全然電話する様子ないじゃないですかぁ!俺とご飯〜!!」
「無理。早く出ていけって。」
「ご飯一緒に行ってくれないと出ていきませんっ!」
「ウザ…。」
ちゅんちゅんウゼェし、先輩はしばらく通話できなさそうだし、ここはちゅんちゅんを黙らせるために一旦食事に出るか?
さっさと済ませて、ちゅんちゅん部屋に帰らせて、ゆっくり先輩を待つ方がいいかも。
「わかった。行ってやるから部屋戻れよ?」
「やったー!やったぁ〜!!何食べますか?たこ焼き?お好み焼き??」
「たこ焼きは昼食ったろ。お好み焼きでいいよ。」
「じゃあ俺近くのお好み焼き屋さん調べますね!」
ちゅんちゅんは嬉しそうにスマホで店を調べ、行きたいというところについて行った。
今日契約がスムーズにいったのは、僅かながらちゅんちゅんのおかげでもあると思うので、夜は奢ってやることにした。
きっと先輩だったら奢ってくれるし。
「城崎さん、ご馳走様です!」
「いいからさっさと食えよ。」
「俺猫舌なんすよ!」
「知らねぇよ。」
ちゅんちゅんはフーフー息を吹きかけながら、時間をかけてお好み焼きを食べていた。
早くホテルに戻って先輩と通話したいのに。
時刻は21時、柳津さんからの返信はなく、俺は追加でメッセージを送った。
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