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第60話
まさか電話繋いだまま、シャワー入る気なのかな?
淡い期待を持ちつつソワソワしていると、部屋のドアがノックされる。
こんな非常識な時間にくる奴、ちゅんちゅん以外しか考えられないから無視する。
コンコン、コンコン…
「城崎さーん!ちょっと入れてくださーい!」
「うるせぇな?!今通話中なんだよ!!」
「えっ!望月さんですか!俺も話したい!」
しつこ過ぎてドアを開け、小声で声を荒げる。
ちゅんちゅんは目を輝かせ、俺からスマホを取ろうとした。
『城崎……、おやすみ……』
声が聞こえて画面を見ると、先輩が半裸で映って……。
は?!ビデオ通話?!!
いつから?!
「ちょっ?!あっ!せ、先輩っ?!」
「え!ビデオ通話っすか?!見せて!」
「うわっ!見んな!!」
「みーたーいー!!」
「切りますよ?絶対髪乾かして寝てくださいね!!」
本当は先輩の肌拝みたかったけど、他人に見せるくらいなら切った方がマシ!!
俺は泣く泣く通話を切り、ちゅんちゅんを睨みつけた。
「マジでありえねぇ。今すぐ俺の前から消えろ。」
「ひ、酷い…!明日の段取り確認しにきただけなのに!」
「確認しにきただけじゃねぇだろ。先輩との大切な時間邪魔しやがって!!」
「望月さんは俺にとっても大切な先輩です!」
「関係性が違うんだよ。あー…、もう。マジで帰って。段取りはメールするから……。」
「………分かりました。すみませんでした。」
ちゅんちゅんはシュン…として帰っていった。
危なかった。
あれ以上しつこく来られてたら、マジでちゅんちゅんのこと嫌いになるとこだった。
「先輩………」
画面を見つめて、また落ち込む。
うぅ……。今の俺にとって、先輩の肌色はマジで貴重なものだったのに……。
しばらく見れる機会はないんだろうな…。
てか、あの様子じゃ絶対寝落ちしてると思う。
風邪引かないかな?大丈夫だよな…?
心配だからメッセージを送る。
メッセージを送ったからって、先輩の風邪が防げるわけではないけど…。
やっぱり先にシャワー浴びてもらうんだった。
いろいろ後悔しながら、俺はベッドに潜る。
そうだ、ちゅんちゅんに段取り送らなきゃいけねぇのか…。
さっき細かく伝えたのに、絶対お好み焼きしか頭になくて聞いてなかっただろ…。
年下の世話係って大変。
先輩もこんな気持ちだったんだろうか?
去年の出張を思い出す。
先輩に格好良いとこ見せたくて、すげー張り切ったんだよな。
資料丸暗記したり、家で何回もプレゼンの練習したり。
でも思い出すのはそんな綺麗な思い出だけじゃなくて、ホテルでの激しい営みも鮮明に覚えてる。
「先輩…、可愛かったなぁ……。」
ご褒美を思い出して、下半身が熱くなった。
自分でするか迷ったが、虚しくなるだけなのを悟って、自然と治まるのを待った。
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