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第62話

「疲れた……。」 二日目は主にちゅんちゅん主体で進めてもらい、俺はサポートに回った。 あれだけ段取り確認して打ち合わせもしたのに、ちゅんちゅんの手際の悪さったらない。 何とか乗り切ったけど、もうフォローしたくねぇ…。 まぁ幸いにも明日で出張は終わるし、明日はSコーポレーション大阪支部との顔合わせ。 俺は前に部長と来たけど、チラッと顔出しただけだし、覚えられているかは微妙。 今回も挨拶に伺うだけだ。 そのあとはいくつか営業に出向き、夜に東京に帰る。 「はぁ〜……、電話していいかな…?」 スマホを触り、先輩の連絡先をタップする。 声聞きたいな…。 そう思った時には既に電話をかけていた。 『もしもし…』 「先輩、お疲れ様です。」 『あぁ、お疲れ。』 先輩の声を聞いて、疲れていた心が一気に癒される。 好きだなぁ。会いたいな…。 会って、力いっぱい抱きしめて、「痛いよ…」って照れながら抵抗する先輩が見たい…。 「朝、平気でした?昨日寝落ちしちゃったでしょ?」 『あぁ、朝な……。寝坊した…。』 「えっ?!」 『時間休使わせてもらって、重役出勤しちゃったよ、はは…。』 遅刻なんて珍しいな。 俺が盛ったせいで遅刻することは何度かあったけど…。 『なぁ、それよりさ……』 「はい。」 『…………』 「どうしました…?」 先輩が何かを言いかけて口籠る。 言いにくいことなんだろうか? 全部聞きたい。解決したい。 「先輩、教えて?」 『………昨日、部屋にちゅんちゅんいた…?』 「へ?」 部屋にちゅんちゅん…。 ………あっ。 寝かけてた時、声聞こえてたのかな? てかこれって…、もしかすると、もしかしなくても……。 嫉妬、というやつなのでは……? 「一瞬来ましたよ。次の日の段取り確認したいって、泣きついてきました。」 『あんな時間に…?』 「本当、失礼ですよね。先輩からも怒ってください。ちなみに無視したんですよ?しつこいから、対応しちゃっただけで。」 『そうなんだ。』 先輩は少し安心したような声になった。 かわいい。 ちゅんちゅんなんかにも嫉妬してくれるんだ。 「今日は先輩の話聞かせてくださいっ♪」 『えぇ…、俺?何もないぞ…。』 「何でもいいんです。俺がヤキモチ妬かない範囲でお願いします♪」 『ん〜……』 俺は先輩の何でもない話を、ずっとご機嫌に聞いていた。

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