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第65話
日曜日、買い物をして、先輩の大好きな料理を作ってはタッパに詰めていく。
気づくと紙袋二つ分、さすがに先輩一人じゃ食べきれないんじゃないかって量が完成してしまった。
月曜日は少し早く出社し、先輩のデスクに紙袋を置いておく。
時期に先輩が出勤してきて、デスクにある紙袋に気づいてくれる。
中を覗いて、そして俺を睨んだ。
「城崎……」
「先輩、おはようございますっ!」
「食える量って言ったろ……。」
呆れた声。
いや、まぁそうなるよな…。
さすがに多すぎた。
シュン…と反省していると、先輩の周りに柳津さんとちゅんちゅんが集まってくる。
「うっわ、美味そう!なにこれ?」
「え〜?うわぁ!御馳走!食べたい!」
「駄目です!これ、先輩のために作ったんだから!!」
二人が先輩を差し置いてタッパを開けようとするから、思わず止める。
先輩のために愛情たっぷりで作ったのに!
先輩に作ったものを譲りたくなくて、二人とブーブー揉めていると、先輩が思いついたように一つの打開案を出す。
「昼、みんなで食べない?」
「「えっっ!!」」
思わず声を出すと、ちゅんちゅんとハモった。
てか、え?いいの?
先輩は俺もいて大丈夫なの…?
「いいんですか…?」
「何が?」
「お昼…、ご一緒して……。」
聞いたあと、ミスったかもと後悔する。
やっぱりダメとか言われたら、俺立ち直れないかも…。
「……いいよ。」
「マジか…。」
一瞬時が止まる。
え……?食っていいんだよな…?
いいんだよな?!
「……っしゃ!やった!仕事頑張ります!!」
俺は両手でガッツポーズした。
その瞬間、周りがざわつく。
でもそんなの気にならないくらい、先輩と一緒に食事できることが嬉しい。
多めに作ってきてよかった。
頑張った甲斐があったじゃん、やるじゃん、昨日の俺!
「なになに〜?城崎くんどしたの〜?」
「超ご機嫌じゃ〜ん♡」
部署外の人がニコニコと笑顔で寄ってきたけど、もう本当どうでもよくて、普通に無視してしまった。
あー…、早く昼休みにならないかな。
今まで当たり前だったことが、本当はこんなにも幸せなことだったなんて。
俺は先輩と付き合って、たくさんの幸せをもらってたんだなって、改めて感じる。
午前にやる予定をしていた仕事が粗方片付いて、先輩の様子を見ながら休憩に入る時間を探る。
周りがポツポツと席を立ち始めたのを見計らって、俺は先輩の元へ駆け寄った。
「先輩っ!お昼行きましょう!」
「あー…、悪い。みんなで先に食堂行ってて?トイレ行ってから追いかける。」
「……わかりました。」
さすがにトイレについて行くと言ったら気持ち悪がられそうだったから、俺は渋々柳津さんとちゅんちゅんと一緒に一足先に食堂へ向かった。
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