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第77話

俺は先輩の膝枕が心地良くて、そのまま眠ってしまい、起きた時にはもう空はオレンジ色に染まっていた。 目の前には眠っている先輩の顔。 少し体を起こして、内緒でキスをする。 起きる様子がなくて、もう一回。 先輩の唇、柔らかくて好き…。 もう一回、もう一回…。 何回もおかわりして、五回目のキスを終えた時、先輩は「んん…」と身じろいだ。 バレたらまずいと思って寝たふりをすると、しばらくして先輩は目を覚ました。 「ん…、おはよ。先輩…。」 「おはよう…?」 今起きたふりをすると、先輩も寝起きで状況がわかっていないのか、ぽやっとした声でそう答えた。 俺がずっと頭を乗せていたから、先輩は足が痺れて動けなかった。 悪いと思いながらも、そんな先輩が可愛くて愛おしさが募る。 動けない先輩をソファで休ませて、俺は夕食を作り、先輩の足の痺れが完全に取れた頃に夕食は完成した。 「んまぃ。」 「先輩と一緒に食べてるから、いつもの100倍美味しいです。」 「大袈裟だろ。」 一緒に食卓を囲めて幸せだ。 今まで通りとはいかなくとも、先輩が帰ってきてくれただけで、こんなにも景色が色付いて見える。 風呂の準備をしてリビングに戻ると、先輩はソファに座ってテレビを見ていた。 手が触れるくらいの距離で座り、時々動いたふりして手に触れる。 これくらい許してほしい。 「先輩、お風呂先に入りますか?」 「うん。じゃあお言葉に甘えて。」 先輩がお風呂に入ってる間に食器を洗い、お風呂上がりに飲めるようにココアを作る。 しばらくすると先輩がリビングに戻ってきて、上気した顔に下半身が反応しそうになる。 必死に煩悩を払いながら、先輩に近づく。 このまま先輩に触れたら止まらなくなりそうで、俺は先輩のタオルを取ってくしゃくしゃと髪をかき混ぜた。 「もうっ!何すんだよ?」 「俺が乾かしてあげる。」 「いいって。自分でできる。」 「何でもやってあげたいんです。いいでしょ?」 少し恥ずかしそうに抵抗する先輩が愛おしい。 でも俺がお願いすると、断りづらそうに小さく頷いてくれる。 この人、なんでこんなに可愛いんだよ…。 「先輩、俺と同じ匂いする。」 「……そりゃ、同じシャンプー使ってるから。」 「嬉しい。」 クンクンと先輩の髪を嗅ぐ。 このまま首筋に吸い付きたい。 けど、そんなことして嫌われたら終わりだ。 無心になることに努めていたら、先輩の髪の水気はだいぶ飛んでいた。 「あとは自分でするから、城崎も風呂入ってこいよ。」 「えー。あとドライヤーかけるだけですよ?」 「風呂冷めたら風邪引くだろ。」 先輩の気遣いは嬉しい。 本当は先輩に少しでも長く触れていたかったけど、このままだと先輩に何するか分からないので、風呂に入る支度を始めた。

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