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第78話

先輩が洗面所に行ったから、前に拓磨さんが先輩用にくれたトリートメントを持って追いかける。 保湿ができる洗い流さないトリートメントらしい。 ドライヤー前に使うって言ってたよな、たしか。 先輩の髪に振りかけると、先輩は不思議そうに俺を振り返った。 「何?」 「保湿のトリートメント。ドライヤー前に振ってもいいんです。」 「いい匂い…。これ好きかも。」 先輩は自分の髪に触れて、指をクンクン嗅いでそう言った。 ハーブみたいな匂い、好きなんだ…? 「じゃあ俺も後で使おっと。」 「城崎のじゃないの?」 「拓磨さんと会った時に、新しい商品が入荷したから、先輩用にってくれたんです。」 「でも俺、いつもの城崎の匂い好きだよ?」 「どんな匂いか覚えてくれてるんですか?」 しまった。 つい嬉しくて、試すようなこと聞いてしまった。 重いだろ、こんなの…。 おそるおそる先輩を見ると、先輩は何でもないような顔で答えてくれた。 「うん。柑橘系だろ?」 嘘…。 覚えててくれてたんだ。 先輩、あんまりこういうの気にしないと思ってた…。 ただでさえ先輩が好きで堪らないのに、これ以上好きにさせてどうする気なんだ、この人は。 「正解。なんか匂い覚えられてるって恥ずかしいですね…。」 「早く風呂入ってこい。」 「ここで脱ぐけど、いいですか?」 「…っ!出るから待ってっ!」 服を脱ごうとすると、先輩は顔を真っ赤にして洗面所から出て行った。 今の反応、何…? 初々しすぎない? 「可愛すぎなんですけど……。」 ついに耐えきれなくて硬度を帯びた自身をタオルで隠し、俺は浴室に入った。 「あー……。やば。」 今日一日やばくないか…? 先輩が家に帰ってきてくれて、触れられて、可愛い先輩たくさん見れて。 いや、一ヶ月ぶりで忘れてたけど、先輩って無意識に可愛いんだよ。マジで。 先輩と離れてから時々しか抜いてなかったソレを握ると、今なら簡単にイケそうな気がする。 「……っ」 やべぇ…。 少し扱いただけなのに、濃い白濁が浴室の床に飛び散る。 こんなに下心丸出しな俺を見たら、先輩は幻滅してしまうんじゃないだろうか。 一人で慰めることくらいは許してほしい。 だってめちゃくちゃ先輩のこと好きなんだもん、俺。 可愛い先輩見たら、シたくなってしまう。 でも今は、まだ先輩はそういうの無理だから…。 先輩が安心できるまで待つんだ。 我慢しなくちゃ……。 冷水にかかり煩悩を飛ばしてから、湯船に浸かって体を温めた。 このあと一緒に寝るとか大丈夫か? 硬くして先輩にバレるまでオチが見えてるんだけど。 タオルで髪の水気を取りながら浴室のドアを開けると、まだ先輩がいた。 「あ…。」 「?!!?!」 先輩は俺を見て顔をリンゴのように染めて、慌てて洗面所から出て行った。

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