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第94話

スーパーで数日分の食材を買って、家に帰る。 先輩がリビングのソファに座ったのを見て、俺も隣に座って手を繋いだ。 「先輩……、どうして外で手繋いでくれたの…?」 「え…。あ、ごめん…。嫌だったか…?」 不安そうにそう言った先輩。 嫌なわけないだろ。 「まさか!逆ですよ、逆!!嬉しすぎたから聞いてるんです!だって、今まで先輩、外では結構遠慮してたじゃないですか!」 質問した理由を伝えると、先輩は眉を下げる。 え、なんか変な質問した…? 先輩の様子を伺っていると、先輩は上目遣いで俺に聞いた。 「城崎はさ…」 「うん…?」 「周りに後ろ指を指されても、俺と一緒にいてくれる…?」 へ…? そんな当たり前のこと、不安に思ってたの? それって、先輩も周りに何言われても俺と一緒にいたいって思ってくれてるってこと? 何それ。嬉しすぎる。 「もちろんですっ!」 「わっ…?!」 「俺、先輩が俺のそばにいてくれたら、それだけで幸せなんです。周りに何言われたって関係ありません。先輩がいれば、他の何を失っても怖くないんです…。」 ぎゅぅっと先輩を抱きしめる。 拒否されなくてホッとして、抱きしめる力を強めた。 「大袈裟……」 「大袈裟なんかじゃないですよ?俺の幸せ全部、先輩なしじゃ存在しないんですから。」 先輩がいないと生きてる意味すら分からなくなりそうだった。 自分が何をしたいか、何を頑張ればいいか、先輩と出会ってから、俺の考えは全部先輩中心に回ってて、だから先輩は俺の最愛の人であり、人生の道標(みちしるべ)だ。 先輩をぎゅうぎゅう抱きしめると、先輩も俺の背に腕を回した。 あー……、今日幸せすぎて死ぬ…。 「先輩、今日は一段とスキンシップ多めですね。なんかいいことありました?」 「どうだろ?分かんない。」 一体今日の午前中に何があったんだ? 柳津さんの差し金か? あの人最近マジで俺の中で株上がりまくってる。 今度何かお礼しないと…。 「城崎…」 「ん?」 「今日、俺の隣で寝てくれない…?」 オレノトナリデネテクレナイ……? …………。 「えっ?!!」 驚きすぎて、ここ最近で一番大きい声が出た。 一緒に寝ていいの?!!?! 「ダメ…だったか…?」 「ダメなわけないでしょ?!!よろしくお願いします!!!」 嬉しすぎて全力で抱きしめると、先輩は「苦しい…」と潰れそうな声で呟いた。

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