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第95話
風呂に入り、念入りに体を洗った。
いや、セックスなんて雰囲気には絶対にならないはずだし、そんながっついてると思われたくないし…。
だけど、先輩と一緒の布団で寝るなんて久しぶりすぎて……。
「うわ〜…、あー……。」
自分の主に下半身が心配。
勃ったら不味いよな。
怖がらせちゃうかもしれないし…。
深呼吸して精神統一。
今日は一緒に寝るだけ。
あわよくば抱きしめて寝るだけ。
キスはしない。セックスはしない。
「………よし。」
ベッドから俺の枕を持って、先輩の部屋の扉をノックする。
「先輩、いいですか?」
「う、うん…。」
部屋に入ると、先輩はマットレスの上で正座していた。
ふっ…、緊張しすぎ…。
先輩の前に座ると、ビクンッと体を揺らす。
「先輩、すげー緊張してません?」
「し…てる……」
「初めての時みたい…。可愛い。」
「…っ///」
初夜の日のようにガチガチに緊張する先輩が可愛くて仕方ない。
顔を見たくて先輩の前髪を指でよけると、先輩はまたビクンッと震えた。
逃げ癖のある先輩なら、「やっぱ無理!」とか言いだしかねない。
「先輩、今更無理とか聞きませんからね。」
「っ!!」
先輩は驚いた顔をして俺を見た。
あー、これは言おうとしてたな…(笑)
先に釘刺しておいてよかった。
「抱きしめて寝てもいいんですか?それとも、隣で添い寝するだけ?」
これ超大事。
添い寝するだけで十分なんだけど。
「だ…きしめても…いい…。」
マジか。
震えた声で呟く先輩が愛おしくて仕方がない。
「やった♪先輩、大好き♡」
先輩を抱きしめて、ごろんと横になる。
幸せすぎて死ぬ。
「先輩…、好き。大好き。」
「ぅ……」
「今日は幸せすぎて眠れないかも。」
お昼はデートして、夜は一ヶ月ぶりくらいに一緒に寝られるなんて。
諦めなくてよかった。
諦めるわけないんだけど。
「今日は幸せすぎて、いまだに夢かと疑ってます…。先輩、幸せいっぱいくれてありがとう。」
「俺…も……。」
「へへ…(笑)先輩もギュッてして?」
お願いすると、先輩の俺を抱きしめる腕に力がこもった。
ああ、もう…。
幸せすぎて、顔面の筋肉全部緩んでるって…。
「先輩、平気?」
今まで発作とか起こしてたから、先輩の体が心配で尋ねると、先輩は小さく頷いた。
「大丈夫…かも…。」
「じゃあ遠慮なく抱きしめられますね♡」
先輩は恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋め、動かなくなった。
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