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第104話
昼休みが終わってから柳津さんに聞いてみたけど、先輩は柳津さんにも「大丈夫。」の一点張りだったらしい。
先輩って抱え込むタイプだから、本当に心配だ。
仕事が終わり、一緒に家に帰る。
ずっと元気がなくて、でも俺を心配させまいと無理して笑っているのが見ていて辛かった。
体が拒否反応を起こしてるくせに、俺に触れようとするから、先輩の息が乱れる前に俺から距離を取ったりもした。
明らかにおかしい。
おかしいのは分かってるけど、原因が本当に分からない。
一緒に寝てほしいとお願いされて、でも自分が原因で震える先輩のそばにずっといることは体に良くないと思って、先輩が目を閉じたのを確認してすぐに部屋を出た。
あまり一緒にいると、俺はすぐ欲張ってしまうから。
リビングのソファで横になり、目を閉じる。
あぁ…、俺の馬鹿…。
朝に先輩の裸を見たことを思い出して、下腹部が熱くなった。
最近抜いてなかったから、頭を空にしたらこれだ。
定期的に抜かねーとダメか…。
ズボンを下ろすと、そこは既に緩くもたげていた。
「………っ、……ふっ…」
先輩を想像したら、すぐに硬くなる。
単純だけど、先輩のエロい姿とか声とか想像したらこうなってしまう。
しゅっしゅっ…と先輩にしてもらってるのを想像しながら扱くと、快感が昂っていく。
「ふっ…、クッ……っ!!」
イクと同時に、リビングのドア付近でガタンっと物音がした。
「先輩……?」
呼びかけても返事はなく、俺はティッシュで手とペニスを拭いてからズボンを履いた。
今いたよな…?
部屋か?
そう思ってリビングのドアを開けると、トイレの方から苦しそうな声が聞こえた。
「先輩…?起きたの?大丈夫?」
ノックして尋ねる。
もし、ただのトイレだったら、入ったらダメだし…。
「…ぅっ、おえっ…」
「先輩っ?!入るよ??」
中から嗚咽する声が聞こえ、俺はドアを開けた。
そこには肩で息をしながら、苦しそうに嘔吐を繰り返す先輩の姿があった。
髪は冷や汗でぐっしょりと濡れ、涙を流して目元も腫れていた。
「どうしたの?なんでこんな…。昨日からろくにご飯食べてないじゃないですか…。」
「…ヒック……、うぅ…」
先輩は今日の昼も、ほぼ何も食べていなかったと聞いた。
夜ご飯だって、今日も調子が悪いと言って、ゼリーを一つ食べただけだ。
吐き戻すものなんてないはずなのに、ゲェゲェと唾液ばかりを吐き出していた。
「なんでこんなに弱ってるんですか?どうして?俺が何かしちゃいましたか?」
俺が触れると拒否反応を起こしてるんだから、きっと原因は俺関連なんだと思う。
なのに、先輩はふるふると首を振った。
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