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第112話

「ちなみにね、実家に帰ってた理由も聞きました。」 「えっ…?!」 「俺とのこと、ご両親にお話してくれてたんですね。」 「なんで…。」 「柳津さんに聞き出しました。もうこの際、全部教えてほしいって。」 先輩の表情が曇る。 あれ。安心させなきゃなのに…。 「先輩っ…?嫌だった?俺にバレたくなかった??」 「……バレたくなかったよ。」 「なんで?俺は嬉しかったんだけど…。」 「本当に…?だって勝手に親に話とか…」 いやいやいや。 この人さっきから俺の話聞いてる?! 重いの上等だって言ってんのに!! 「めちゃくちゃ嬉しいですから!!だって、親に言うってことは、これからも俺と一緒に居たいと思ってくれてるってことですよね?!」 「そ…ぅだけど…」 「嬉しいに決まってるじゃないですか。」 不安げに揺れる瞳を見つめる。 俺みたいにストレートにぶつけてくれたらいいのに。 先輩は不器用な人だ。 俺のために、こんなにも頑張ってくれてるのに。 「先輩、俺は先輩のこと大好きです。愛してます。この言葉に嘘なんて一つもありません。だから信じてよ。」 「城崎……」 「そんな嬉しすぎることされて、俺が先輩のこと嫌いだとか重いとか思うわけないし、先輩が辛かったら一緒に支えたいし、もっと頼って。俺は先輩に頼られるの好きだから。」 ぎゅーーーっと思い切り抱きしめると、先輩もおずおずと俺の背に手を回す。 ううっ!可愛い…!! キスしたいけど…、我慢……。 「他に何か言いたいことありますか?」 「……………いい?」 「何?」 小さい声で聞き逃してしまい、優しく聞き返す。 「城崎…、お願いしてもいい?」 「はい、もちろん。どんなお願いですか?」 聞き入れられないお願い来たらどうしよう。 別れてとかは無理。 エッチはなしだけどお風呂入ろうとか、そういう嬉しいお誘いなら俺が我慢すればいいだけだからOK…。 何だ?どうくる? 「……一日一回、こうしてギュッて抱きしめてほしい…。」 「?!」 「先生が言ってたんだ…。ハグすると幸せホルモンが出るんだって。そしたら不安とかも和らいで、ストレスも解消して、いいことづくめなんだって…。」 何それ?!! 可愛いな?! ていうか、それって好きな人とハグしたらじゃなかったっけ?? 普通に俺のこと好きって言ってるじゃん!!! 「城崎……?」 「喜んで!!!!」 「わっ…!」 可愛さに耐えられなくて、頬っぺたにキスした。 可愛すぎて先輩を抱きしめたまま跳ねそうになる。 「先輩、ハグしたいときは俺の小指握ってね?」 「……?」 「言葉にするのが苦手な先輩のための合図です。」 そう言うと、先輩はこくんと頷いた。

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