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第116話
「緊張した?」
「するだろ、そりゃ。タワマンだぞ?」
「いつか住みたいですか?」
「やだよ。毎日緊張すんじゃん。」
「ふふっ、住んでたら慣れるでしょ。」
手を繋いで帰路につく。
先輩が元気になってよかった。
前まで元気だったのに、たった一つの大きい不安だけであんなにも体調から何まで崩れてしまうなんて…。
俺が守らなきゃ。絶対に。
家に着いてドアを閉めてすぐ、俺は先輩を抱きしめた。
「おかえりなさい、先輩。」
「ただいま。」
毎日先輩がこうして家に帰ってきてくれる。
当たり前のようで、当たり前じゃない。
先輩の腕が俺の背に回されるのだって、先輩が嬉しそうに笑ってるのだって、全部特別なんだ。
「城崎、今日のごはんは?」
「野菜たっぷりいれた煮込みうどん。」
「俺が手伝えることある?」
「完食してくれたら俺は安心だし嬉しい。」
「もう…。また俺のこと甘やかす…。」
先輩はぷくーっといじけたけど、これは本当。
料理は苦じゃないし、今は先輩にちゃんと食事をとってほしい。
明日からはガッツリ系のメニュー小出ししていってもいいかもな。
「あ!じゃあ俺は洗濯取り入れる。」
「ありがとうございます。」
「あと風呂の準備してくる。」
全部俺がやってもいいんだけど、あくまで先輩は分担したいみたいだ。
先輩が家事をしてくれているのを見つめながら、俺も料理に取り掛かる。
煮込みうどんだから、味さえ良ければあとは簡単なんだけど。
洗濯物を取り入れる先輩を、キッチンから隠れて見つめる。
先輩は俺のパンツを見つめて、顔を赤くしていた。
何あれ…?
可愛すぎるんですけど…。
もう同棲して何ヶ月だよ?
さすがに初々しすぎて、イタズラ心擽られる。
「先輩〜」
「っ!!」
「終わりました?」
「も、もうちょっと!」
声を掛けると、先輩は焦って俺のパンツを洗濯カゴに入れる。
あ〜、やば…。
イタズラしたい…。
野菜を切る手を止めて、洗濯を取り込む先輩を後ろから抱きしめる。
「な、何…っ?」
「ん〜?さっき、俺のパンツ見て何想像してたのかな〜?って。」
「っ!!」
先輩はボンッと音が聞こえてしまいそうなくらい真っ赤になった。
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