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第122話
先輩にキスの許可をもらってから数日。
手の次は足、それから髪、昨日は耳。
先輩にたくさん触れられて、俺は幸せだ。
「先輩、眠い?」
「うん…」
先輩を抱きしめながらソファでテレビを見ていたら、先輩は俺の腕の中でウトウトしていた。
何度も首をガクンガクンさせていて、眠気と闘っているのは分かるんだけど、早く横にさせてあげたい。
先輩を抱き上げて部屋に運び、マットレスに下ろし、俺も先輩の隣に横になった。
「城崎……」
「ん〜?」
ころんと俺の方に寝返りを打ち、見つめられてドキッとする。
先輩は小さな声で呟いた。
「俺……、二人のベッドで…、寝れるかも…。」
「えっ!?本当っ!?」
驚きのあまり、俺は飛び起きて先輩の両肩を掴む。
今はもう一緒に寝ているし、別にあのベッドにこだわる必要なんてないのかもしれない。
でも、俺は先輩と愛し合った思い出が詰まっているあの寝室で、あのベッドで、先輩と一緒に寝たい。
先輩を見つめていると、先輩の表情がほんの少しだけ曇った。
「先輩、無理してる…?」
「え?」
「表情暗くなった…。嫌ならいいんです。」
無理をさせたいわけじゃない。
先輩は申し訳なさそうに黙ってしまったから、ポンポンとマットレスを叩く。
「ほら!それにこのマットレスだったら、狭いから先輩とくっつけるし!」
「でも…」
「大丈夫。明日も仕事だし、いきなり変えたら寝れないかもだし?今日はここで寝ましょ?」
布団の中に戻って、腕を広げて先輩を誘う。
先輩はおずおずと俺の腕の中に身を委ねた。
「ごめん…。」
「なんで謝るの?それより今日も……、いい?」
「うん…。」
先輩に了承を得てから、首筋に顔を埋める。
唇で軽く皮膚を食 むと、先輩はピクンッと震える。
これが感じてくれているだけなのか、それとも怖くて震えているのか。
前者だと信じながら、何度かキスを繰り返す。
「早く唇にしたいな…。」
「ん…、ごめんね…。」
ああ、また変なこと言ってしまった。
欲張るな、俺。
謝らせたいわけじゃないのに。
「ううん、今でも十分幸せですよ?」
「ん……」
先輩の表情がまた暗くなってしまって、失敗したと自分の言動を悔やんだ。
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