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第128話
「お疲れ様っす〜!」
「雀田!また遅刻か!!」
「遅いぞ、ちゅん坊〜。」
マジで遅いな。
てか、去年も流しそうめん中に来なかったっけ、こいつ。
上司に準備させて、楽しいことだけ参加するって、どんだけ自由人だよ。
「すんません!あー、そうめん美味そう!」
「準備してない奴は食うな。」
「え〜、そんなぁ…。城崎さんの鬼っ!俺お腹ぺこぺこなんすよ〜…。」
「まぁまぁ、城崎。せっかく来たんだし、ちゅん坊にも食わせてやれよ。」
「係長、神っす!」
まーた甘やかされてら。
ちゅんちゅんはお腹いっぱい素麺を食い、満足そうに腹を叩いていた。
「そういえば、望月さんは?」
「休み。」
「じゃあなんで城崎さんはいるんすか?」
「おー、ちゅんちゅんのくせに、よく分かってんじゃねぇか。ご褒美のためだよ、ごほーび。」
「え〜。なんか城崎さんが言うと、エッチっすね!…痛っ!」
先輩のエロい姿想像したのかと思って、とりあえずちゅんちゅんの頭を小突くと、ちゅんちゅんは大袈裟に痛い痛いと柳津さんに泣きついた。
柳津さんは苦笑しながら、俺の隣に座る。
「何怒ってんの?」
「こいつマジでムカつく。」
「酷いっす〜!城崎さんが"ご褒美"とか言うから、エロいって言っただけなのに〜!」
「あー…、はは。城崎が怒ってる意味分かったわ。」
「えぇっ?!なんでっすか!」
俺のこと分かってるじゃんって言ったけど、やっぱり全然分かってない。
ぷくーっと膨れていると、後ろから服をツンツンと引っ張られた。
「夏月、遊ぼ…?」
「あ〜…、いいよ?何したい?」
「もう一回川遊び!」
後ろにいたのは鈴香ちゃんで、俺はまた川遊びに付き合った。
お腹いっぱい食べてたくさん動いたからか、鈴香ちゃんは30分ほど遊んで、すぐにテントで寝てしまった。
「城崎くん、ありがとう。本当に助かったわぁ。」
「あ、久米さん。」
「服も濡らしてしまってごめんなさい。」
「いえ、全然大丈夫です。」
「一時はどうなることかと…。まさか望月くんが休みだとは思わなかったから、あの子も今日すごく会いたがってたから、その分残念だったんだと思うの。」
「すげぇ懐いてますよね。」
「鈴香の初恋なんだって。望月くんなんか好きになっちゃったら、ハードル高いのにね。次の子が可哀想だわぁ。」
「はは。たしかにそうっすね。」
久米さんとテントの中で涼みながら、初めてゆっくり話した。
俺って本当に先輩以外との関わり薄かったんだなぁと、今日いろんな人と話してなんとなくそう思った。
「そういえば、今更なんですけど、弥彦くんは?」
「あぁ、弥彦は今日サッカーの試合でね。あの子も望月くんに会いたがってたんだけど。」
「先輩喜びますよ。伝えておきます。」
「ありがとう。よろしくね。」
久米さんと話し終わった後、片付けに参加して、早々に解散となった。
嬉しいことに鈴香ちゃんは、去年先輩と離れるのを嫌がったように、今年は俺から離れるのを嫌がったけど、久米さんに宥められながら帰っていった。
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