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第129話

柳津さんの車に何人か女性陣を乗せて、車は出発した。 これが他部署だったら結構面倒だったけど、営業部の女性陣は俺の恋愛を応援してくれてる人が多い。 ただでさえ女性が少ない上、年上は既婚者が多いし、20代の女性陣は俺ではなく、先輩狙いの方が多い。 「城崎くん、彼女とはどうなの〜?」 「おかげさまで。」 「「きゃ〜っ!!」」 女性って本当恋バナ好きだな…。 車という空間で、到着するまで逃げ場がないことにげんなりする。 「聞いた聞いたっ?これ広めてやろーよ!秘書課の厚化粧女どもが白目剥くんじゃな〜い?!」 「あと広報と総務ね〜!城崎くん狙いで営業部に押しかけてくるのほんと迷惑だも〜ん。異動希望営業部って、仕事舐めてんのかって感じだし!」 「わかるわかる!どうせ『これわかんなぁい♡』って、あざとく城崎くんに近づくんでしょ〜?」 「わぁ、想像つく!彼女に失礼〜!」 ……………怖。 サバサバとしていた印象の営業部女性陣、思ってたよりも女社会で生きていけそうな人種だった…。 でもまぁ、その通りになるんだったら、俺に寄ってくる人も減って、先輩も安心するかな…? 「なぁ、城崎。後ろの会話、怖えーんだけど。」 「俺もですよ…。」 「絶対敵にしないようにしような…。」 「俺、先輩と付き合ってるってバレたら、殺されませんかね…。」 「………4〜5年目あたりの綾人狙いの女性陣には注意だな。」 運転席の柳津さんと、コソコソと話した。 女性陣たちは山手線のどの駅でも良いというので、山道から出て一番近かった駅で解散した。 俺は柳津さんの厚意に甘えて、家の近くまで送ってもらった。 先輩が帰ってくるにはまだ早い時間だ。 「じゃ、今日はお疲れ様。綾人にもよろしく。」 「はい。ありがとうございました。」 車が発車したのを確認し、俺はエレベーターに乗った。 今日の夕食、何にしよう。 蕎麦とか冷麺とか、冷たいものの方が食べやすいかな? 冷たくはないけど、最近作ってないし、カレーもいいな。 うん、カレーにしよ。 そんでカレー作りながら、ご褒美のこと考える。 冷蔵庫からジャガイモやニンジン、玉ねぎの他にもナスやカボチャ、ズッキーニにオクラ、とにかく栄養満点のカレーを作ろうと野菜を出す。 カレーなのでささっと準備を終わらせて、煮込んでる間にソファに横になった。 「あー……、何にしよう…?」 納涼会は思ってたより忙しく動いてたから、考える暇がなかった。 本当のところはキスとか、それ以上シたい。 けど、それは別に先輩の心の準備を待っているわけであって、ご褒美を使ってすることじゃないというか。 ご褒美だから、先輩から俺にってことだよな…。 身体がムズッとして、結局やらしいことを期待してる自分に苦笑する。 よし、決めた。 断られた時ように別のお願いも考え、先輩を待った。

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