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第133話
朝早くに目が覚める。
隣にはぐっすりと眠る先輩。
よかった。先輩がここにいてくれて。
一時間ほど先輩を見つめて、髪をいじったり、頬を抓ったり、唇を触ったり。
飽きないなぁ。
朝日が昇ってきた頃、眠そうに目を開けた先輩は、俺と目が合って目を見開いた。
「っ?!」
「おはよー、先輩♡」
「お…はよ…?」
何で疑問系?(笑)
思わず笑いが込み上げる。
「なんて顔してるんですか。昨日一緒に寝たでしょ?」
「もう平気…だな。」
抱きしめると、先輩は俺の腕の中でそう言った。
平気。
そうであってほしい。
もう何も起こらないでほしい。
「あー。もう、そうして油断しちゃダメですよ?薬だって、いきなりやめたら依存性の反動が来るかもってネットに書いてたし!」
「気をつけるよ。心配かけたのは悪かった。」
「ほんっっとに心配したんですからね。もう二度とあんな怖い思いさせないでくださいっ!」
先輩が意識を失った日を思い出す。
怖かった。
人生で一番怖い経験だった。
愛する人がいなくなる。
そんなこと、想像したくもない。
「いひゃい…」
先輩の両頬を摘むと、先輩は笑った。
もう。他人事なんだから…。
「なぁ城崎、昨日の話聞かせてよ。」
「え〜?納涼会ですか?」
「うん。聞かせて?」
「仕方ないなぁ。」
先輩が強請るから、先輩と駅で別れてから先輩が帰ってくるまでのことを、一つずつ思い出しながら話した。
久米さんのお子さんのことを話したら、先輩が会いに行くとかいうから、取られたくなくて先輩を抱きしめて駄々捏ねたら軽く打 たれた。
あ、そういえば…。
納涼会といえば、一番大事なこと。
「な、何だよ…?」
「先輩、覚えてる?」
「……?」
この顔は覚えてないな。
上目遣いで伝える。
「ご褒美。俺、力仕事も、鈴香ちゃんの相手も、結構仕事したと思うんだけどなぁ…。」
「………」
「先輩は約束破ったりなんかしないですよね?」
「し、しないよ。聞く。何してほしいんだ?言っとくけど、無理なお願いは聞かないからな!」
絶対忘れてたろ。
まぁ聞いてくれるならいいんだけど。
「優しいわがままなら聞いてくれるんでしょ?俺、色々考えたんですけど〜…。」
「な、何……?」
先輩、すっげー身構えてるじゃん。
俺は自身の太腿を指差して、先輩におねだりする。
「俺のココ、キスマーク付けてくれませんか?」
先輩はブワッと顔を赤く染めた。
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