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第140話
横腹の辺りに綺麗に付いたキスマークを見ると、なんだか心が満たされた。
俺は先輩の服を捲って、背中にキスをする。
綺麗な背骨。
あんまりまじまじ見たことなかったな…。
「あぁっ…」
舌を這わせると、先輩の身体がびくびくと波打った。
感じてる時の声。
嬉しい。
先輩、もっと俺を感じて…。
「先輩、好き。大好き。」
「城崎…っ、ぁあっ」
「感じてる先輩、すげー可愛い…。ねぇ、ここ…?」
「あっ、ゃ…だっ!城崎っ!」
手を前に回す。
何度も触れて、何度も覚えた。
先輩の可愛い乳首。
男だからただの飾りのはずなのに、そこに触れると先輩は甘い声で啼くから、それが死ぬほど愛おしい。
「やだってば…!」
人差し指が先輩の乳首に触れた瞬間、ドンッと体を押されて尻餅をつく。
先輩に突き飛ばされた…のか…?
何が起きたかわからなくて呆然としてたけど、顔を上げると、先輩はぽろぽろと涙を溢していた。
「せ、先輩……」
「………あれ…?」
「先輩…、ごめんなさい…。俺…っ」
「ごめん。ちょっと待って…。」
泣くほど嫌だとは思わなかった。
少し調子に乗ってしまっただけなんだ。
先輩が許してくれて、俺との未来を見てくれて、だから俺、元に戻れたんだって…。
「先輩っ…」
「好きだよ、城崎…。好きなんだ……。」
「先輩……」
泣きながら俺に「好きだ」と伝える先輩はとても綺麗で、でも今にも壊れてしまいそうなほど危うくて。
男相手におかしいかもしれないけど、俺が守らないといけないのにと、そう思うのは何度目だろうか。
「時間が欲しい…。満足させてあげられなくてごめん…。」
「ううん。いつまでも待つよ。謝らないで。俺が早まっただけ。嫌な思いさせてごめんね、先輩。」
先輩は静かに泣いた。
なかなか涙は止まらなくて、俺がいると逆効果なのかと思ったけど、先輩は俺の服の裾をギュッと握ってた。
抱きしめていいかと聞いたら頷いてくれたから、俺は先輩を優しく抱きしめた。
まだ俺に触れられるのは怖いのか…?
全部が怖いわけではないんだと思う。
現にこうして触れさせてくれるのだから。
拭いきれていない不安が、まだ残ってるってことなのか?
「城崎…、薬飲みたい…。」
「うん。待っててくださいね。」
毎日朝に飲んでる抗不安薬。
明日の朝の分、早めだけど今飲ませることにした。
先輩は程なくして、俺の腕の中で眠ってしまった。
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