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第151話

やっと土曜日を迎えた。 この週末は先輩のこと労ってあげたい。 悩みとか忘れて楽しんでくれればいいんだけど…。 先輩よりも早く起きて、パンケーキの準備をする。 「城崎…?」 「あ!おはようございます、先輩っ!」 「いい匂い…。」 先輩は眠そうにあくびしながら、匂いに誘われてキッチンに来た。 後で使うフルーツ缶詰から桃をフォークで刺して口の中に入れると、ふにゃっと幸せそうに笑う。 「パンケーキのフルーツ盛り。もう少しでできるから待っててくださいね。」 「なにそれ、美味そう。」 「そのあとは映画見ましょう!先輩が好きそうなの見つけたんです!」 「ん。楽しみにしてる。」 先輩はスマホを触りながら、ダイニングで待ってくれていた。 ふわふわのパンケーキの上に、たっぷりの生クリームとフルーツを乗せる。 我ながら上出来じゃないか? 「先輩っ!できました!」 「美味しそう。店で出てくるやつみたい。いただきます。」 「どうですか??」 「すっげー美味しいよ。」 朝から頑張ってよかった。 完全に表情が晴れたわけじゃないけど、昨日と比べたら幾分かマシだ。 朝食を終えて先輩に薬を渡して、次の準備をする。 よし。次はホームシアター。 先輩をソファに座らせ、映画っぽくポップコーンとコーラを準備する。 「城崎…、ここで見てもいい…?」 「えっ…!?も、もちろんです!」 先輩は俺の膝の上に座った。 なんだこれ、ご褒美か? 心臓をバクバク鳴らしながら、リモコンで昨日選んでおいた映画を選び、部屋を暗くして再生した。 先輩とは映画の趣味も結構合うから、俺も見てて面白い。 時々ポップコーンを取る手が当たったりして、俺はその度にドキドキした。 映画のエンドロールが流れ、先輩が俺の上から退く。 足痺れた…。 幸せの方が勝ってるから全然いいんだけどさ。 ふと先輩の顔を見ると、まだ表情は晴れていなかった。 「あんまり面白くなかった?」 「え…?面白かったよ。」 「そう?よかった…。」 俺にしては結構頑張っておうちデート考えたんだけど、それでも元気出ないくらいの何かがあったんだ。 そうじゃないと自殺未遂なんてしないよな…。 先輩は自殺しようと思ったわけじゃないかもしれないけど…。 原因を解決しないと、先輩の心からの笑顔は見れないってわけだ。 それなら尚更話して欲しい。 これ以上先輩が苦しい思いをしないように。 無理して笑う先輩なんて、もう見たくないから。

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