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第161話

………! 今何時だ?! ハッと目を覚まし、時計を見ると、もう12時を過ぎていた。 嘘だろ…。 先輩を探さなきゃいけないってのに、こんな時間まで寝てたのかよ、俺…。 帰ってきてほぼ気を失うように寝てたため、スマホの充電もほぼ0に近かった。 充電器に差し、シャワーを浴びる。 暑いな…。 ニュースを見ると、今日は真夏日らしい。 通り雨にも注意しろと天気予報士が話していた。 先輩は大丈夫だろうか? どこか室内にいてくれればいいんだけど…。 こんな暑い中、もし外にいたら…。 やっぱり早く探しにいこう。 連日外に探しに出かけている上、帰ってそのまま寝てしまったから、スマホの充電もモバイルバッテリーの充電もほとんどなかった。 コンビニで初めてモバイルバッテリーのレンタルをして、充電しながら探し回る。 無謀だってことは分かってるけど、家でじっと待ってろって方が無理だ。 汗だくになりながら、繁華街や思い出の場所を繰り返し探す。 今日も見つからないのか。 電話をかけては繋がらないことに肩を落とす。 病院に運ばれてる可能性もあるけど、守秘義務があるし、先輩がいるかと尋ねたところで答えてくれるわけがない。 警察も頼れないし、これじゃあもう八方塞がりだ。 夜になって人が増え、そして終電の時間に近づくにつれて人が減っていく。 こうして探し続けることに意味はあるのかと希望を失いそうになった時、スマホが鳴った。 画面に表示されている名前は"望月綾人"。 …………?!! 慌てて通話ボタンを押し、スマホに叫ぶ。 「先輩っ…?!先輩っ!どこにいるの?!」 『城崎……』 先輩の声だ…。 掠れて小さくて聞こえづらいけど、でも間違いなく先輩の声だ。 「先輩っ!どこにいるか教えてください!!」 『ごめん…、城崎…、ごめんなさい…、俺……』 先輩は涙声で謝った。 謝られる理由なんて一つもない。 「先輩…?何?どうして謝るの?」 『二番目でもいいから、俺をそばに置いて…。お願い…』 二番目…? さっきから何言ってるんだ? 先輩が俺の中で二番目なんかになるわけない。 ずっとそばに居てって、むしろ俺がお願いしてるのに。 「何言って…」 『好きなんだ……。』 絞り出すような声で聞こえた言葉。 嬉しくて、なんだかもう感情がぐちゃぐちゃになりそうで、涙が溢れる。 「……それは直接聞かせてください。」 先輩が俺を好きでいてくれてよかった。 その言葉一つで、俺は無敵になれるんだよ。 先輩と離れるなんて選択肢、絶対に考えちゃいけなかった。 俺は先輩がいないと、生きていけないんだから。 電話越しにガタガタッと音が聞こえる。 後ろから大雨と雷の音も。 まさか足元が崩れて、どこかから落ちたとか? 先輩の声が聞こえなくなって、不安が募る。 「先輩…?先輩っ?!」 『…………』 「先輩っ、大丈夫?ねぇ、先輩っ!!」 『…城…崎……』 微かに耳に届いた先輩の声に、ほっと息を吐く。 でも、危ない状況であることは間違いないんだと思う。 「位置情報送ってください!お願いだから…っ!」 先輩の声は聞こえなくなったけど、代わりにメッセージアプリで位置情報が送られてきた。 山梨県……? そりゃ探しても見つからないわけだ。 もう終電の時刻も終わっていて、スマホで深夜時間出発可能なレンタカーを探す。 すぐに予約して店に向かい、家から季節外れのパーカーや毛布を引っ張り出して車に乗せて、急いで先輩が送ってくれた位置情報の場所へ向かった。

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