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第164話

頭も洗って、体も泡風呂である程度汚れが落ちて、これで先輩は聞いてくれるんだよな? 先輩を足の上に乗せて、逃げられないように両手でホールドする。 「先輩。」 呼びかけると、先輩の肩がビクッと揺れた。 「もう一回教えて?先輩の今の気持ち。」 「……………」 「電話で言ってくれたでしょ?」 あんなギリギリの状態で放った言葉。 きっと…、いや、絶対に本心のはずだ。 もう一度聞きたい。聞かせてほしい。 「…………好き。城崎のことが、好き…。」 小さく紡がれた言葉は、しっかりと俺の耳に届いた。 心がじんわりと温かくなる。 好きだ。たまらなく、この人のことが。 「うん…。俺も大好き。愛してるよ、先輩。」 愛おしくて、唇にキスをした。 先輩はぴくんっと体を震わせたけど、拒否したりはしなかった。 唇をそっと離すと、先輩は真っ赤な顔で、泣きそうな顔で俺の目を見つめた。 「…城崎……、好き……。」 「うん…。」 「でも、ごめん…。俺、もう城崎に愛される権利ないんだ…。」 「……?」 幸せな気持ちに浸ってたら、先輩がまた俺に謝った。 愛される権利がない? 先輩は一生俺に愛され続けるんですけど。 「どうして?」 「………俺、……蛇目とセックスした…。」 「あぁ…。」 思い出すだけで、はらわたが煮えくり返りそうだ。 浮気したと思ってるから、俺に愛される権利はないってことか。 先輩の考えそうなことだ、納得。 「してないよ。先輩は蛇目さんとセックスなんて。」 「でも…っ」 「ちょっといい?嫌だったら嫌って言ってね。」 「……?」 先輩を抱き寄せて、右手を下の方に伸ばす。 人差し指でお尻の穴を掠めると、先輩は大きく体を震わせた。 「ぁっ…、待っ…ぁ!」 「嫌だったら嫌って言って。」 「あっ、あっ…」 先輩は逃げようとするものの、嫌とは言わなかった。 人差し指を第二関節まで埋めると、それ以上は狭くてなかなか進まなかった。 「先輩、大丈夫。」 「……はっ…ぁ…」 「もしセックスしてたら、こんなに狭くないよ。」 「ほ…んと……?」 「うん。それに、蛇目さんもしてないって言ってた。抱いたふりしただけだって。だから大丈夫ですよ。」 先輩はほっと安心したような顔をしていた。 内心俺も安心した。 蛇目の言ったことなんて信用ならないし。 先輩はグズグズ鼻を鳴らして、俺に擦り寄ってきた。

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