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第165話

愛おしすぎて、どうすればいいか分からない。 蛇目とのことが未遂だと分かって安心したのか、先輩は俺に甘えてくるし。 こんな状況だから絶対下心なんて見せないって決めてたのに、先輩が可愛すぎてなんか下の方に熱が集中してきた…。 「先輩…、そろそろ風呂あがろっか…?」 「………城崎…、俺……」 「………?」 頬を蒸気させて、目を潤ませて上目遣いで見つめられる。 待て待て待て。 俺の理性、耐えろ。頑張れ。耐えろ……。 「先輩…?」 「……暑い…。」 「えっ?!わっ、えっ?!」 胸元に倒れ込んできた先輩の体は、さっきまで冷え切っていたのが嘘のように熱かった。 さっきのは俺を誘惑してたとかじゃなくて、のぼせてた? いや、違う…。これはまさか……。 お風呂から上がって先輩用に持ってきていた服を着せ、フロントに体温計を借りに行く。 ピピッと鳴って確認すると、体温計は40度を示していた。 体力も免疫力も落ちてる時に、雨に打たれてあんな寒いところにいたら、そりゃ風邪引くに決まってる。 布団を掛けて、冷たいタオルを作りに行こうとすると、先輩は俺の腕を掴んだ。 「行かないで……。」 苦しそうに息を吐きながらそう言った先輩を、放っておけるわけなかった。 布団に入って、先輩を抱きしめる。 「大丈夫。ずっとそばにいます。」 「……うん…。」 「だから安心して寝てください。」 「…うん……。」 先輩は安心したように目を閉じた。 お風呂から上がったばかりなのに、先輩は額に玉の汗を浮かべていた。 タオルで拭き取ると、ペタッと前髪が額につく。 「城崎…、好き…。大好き……。」 「うん。俺も好きだよ。」 「城崎…、城崎……」 うわ言のように何度も俺の名前を呼んで、好きだと呟く。 俺は先輩の言葉全部に返事した。 先輩に聞こえてなくてもいい。 心の中だけじゃもう溢れそうだから、言葉にして吐き出していく。 「先輩、愛してるよ。」 「……城崎…」 「死ぬまで離さない。おじいちゃんになっても、ずっと一緒にいてね。」 「…ん……」 寝ぼけながらも返事してくれる。 はは。今度逃げようとしたら、今の言葉掘り返してやろうっと。 あー…、俺も体力の限界かも…。 連日の疲労と不眠が、先輩を見つけた安心感で一気に襲ってきた。 先輩あったけぇ…。 温かいというよりは熱いが正解だけど。 でも、先輩の体温を感じられるだけで幸せだった。

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