ドキドキしていたら、鎖骨に柔らかい感触。 と思ったら、強く吸われる。 何度も同じ箇所にキスしてる先輩が可愛すぎて堪らない。 もう我慢の限界。 「なに可愛いことしてるんですか。」 「わっ？！」 ぎゅーっと抱き寄せると、先輩は身動き取れなくなって、ジタバタと手を動かす。 しばらくすると大人しくなり、俺の胸元に擦り寄ってきた。 「いつから起きてたんだよ？」 「俺の匂い嗅いでたとき…？」 「初めから狸寝入りじゃねぇか。」 勝手に寝てるって勘違いしたくせにね。 まぁ途中からわざと寝たふりしてたけど。 「先輩、もっと付けて？」 一個じゃ足りなくて、どうせなら先輩のものだって印をいっぱい付けてもらおうと、シャツのボタンを外して首元を晒す。 鎖骨に二つと項に一つ。 回数を重ねるごとに、先輩はキスマークを付けるのが上手くなってきた。 「……これでいい？」 「だーめ。こっちにも付けて？」 「そんなとこも…？」 喉仏のところを指差すと、先輩は困惑した表情で唇を寄せる。 まぁどうせ、見えるところだから気にしてるんだろうけど。 俺は見せつけたいし、もっと付けてくれてもいいんだけどな。 「ついたよ。」と教えてくれた先輩に、「ありがと。」と額にキスする。 このままドロドロに甘やかしたい。 けど、ちゃんと確認しておかなきゃいけないことがある。 「先輩。」 「ん、何…？まだ付ける？」 「そうじゃなくて…。」 「うん？」 先輩は急に真剣になった俺を見て、キョトンとしていた。 視線を合わせると、嫌な予感がしたのか目を逸らそうとするから、逃げないように手を掴んだ。 「……先輩さ、先週の木曜日、那瑠と会ってたでしょ。」 「えっ……。」 「何言われたんですか。」 「えっと……」 「答えて。」 まさかバレてるとは思わなかったらしい。 でも逃す気もない。 先輩がまた元気をなくした理由。 絶対那瑠が絡んでいると、俺はほぼ確信していた。 「………この家で…、城崎と那瑠さんが…セックスしたって…。」 「は？」 長い沈黙の後、先輩はそう言った。 俺が那瑠と、この家で？ 「そんなことしてない。」 「俺だってわかってる！城崎がそんなことしないって…。でも、どうしても不安なんだ…。」 なんでそんなに不安なのか。 俺のこと信用できない？ ……なんて、ネガティブなこと思ってしまいそうになるけど、俺だって先輩が蛇目と出張先で何かあったんじゃないかとか疑ってしまったし。 気持ちはわかる。 信じてるけど、拭いきれないというか。 自分に自信がないことの表れだと思う。