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第170話
アラームで目を覚ますと夜の7時。
もうこんな時間か…。
布団から出ようとして、先輩の寝顔を見て一旦止まる。
正直、もう本当にダメになるんだと思った。
先輩との関係。
先輩がまだ俺のことを好きでいてくれてよかった。
柳津さんの言うとおり、最後まで諦めなくて本当に良かった。
でも、もし嫌われたりなんかしたら、どうなるんだろう?
きっと俺は諦められるわけもなく、先輩に復縁を申し込むんだろうな……。
「先輩、愛してるよ…。」
瞼にキスをして、体を起こす。
キッチンでお粥を作って、先輩を起こしに部屋へ戻った。
「先輩、起きて。」
「ん……、もう朝…?」
「違いますよ。夜。お粥食べるって言ったでしょ?」
「あ…、そっか…。」
先輩はのそのそと布団から出てきて、ダイニングに腰掛ける。
先輩のために作った卵たっぷりの卵粥。
美味しそうに食べてくれる。
「ごちそうさまでした。」
完食したお皿を見て嬉しくなる。
食後に渡した抗不安薬も、何も言わずに飲んでくれた。
やっぱり飲まなかった数日間はキツかったんだろうな…。
割と穏やかに過ごしている先輩を見ると、そう思った。
熱は昼過ぎの時点で解熱してそうだったから、もう落ち着いたかな…?
体温計で測ると、36.5度まで解熱していた。
「先輩、お風呂入る?」
「あー…、うん。汗かいたし…。」
じっとりと濡れた服をつまんで俺に見せる。
お風呂…。
わがまま言ってもいいかな…?
断られる前提で、下手に出て尋ねる。
「今日も一緒にお風呂入ってくれたりって…?」
「………いいけど。」
「やったー♡」
お湯を張ってリビングに戻ってくると、先輩は服を見て動きを止めていた。
「どうしたんですか?」
「あ…、えっと……」
「うん?」
「風呂上がり、これ着てもいい…?」
先輩が持っていたのは、俺がよく部屋着で着てるTシャツ。
え、何。可愛いんですけど。
「もちろん。着ていいですよ。」
「ありがと…。」
嬉しそうに微笑んでTシャツを抱える先輩に、内心発狂しそうなくらい悶えていた。
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