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第181話

リビングで待っていると、勢いよく扉が開いて、ズンズンとなんだか不機嫌な様子で先輩が俺の元へ来た。 ぴっちりと隙間がないくらい俺に密着して座る。 どうしたんだ? 先輩を見つめると、急に毒を吐き始めた。 「バカ。」 「え?」 「バカバカバカバカ。バーーーカ。」 「ちょ、え、何??」 突然の罵倒に頭が追いつかない。 俺なんかした? むしろ何かしかけたから、そうならないように回避したはずなんだけど。 困惑していると、先輩は俺のシャツをキュッと握りしめた。 「なんで触ってくれないんだよ…?」 「えっ。」 「なんでキスしてくんないの?」 「ちょ、わっ…?!」 勢いよくソファに押し倒される。 先輩は俺に馬乗りになって、俺を見下ろした。 「キスしてよ…。」 「で、でも…っ」 さっき色々解決したところで、やっと俺たちに平穏が訪れるはずで。 感情昂ってキスしそうになったし、それ以上のことだってシたい。 だけど、先輩の気持ちが今どの辺りにあるのか、キスしてもいいのか、もっと触ってもいいのかとか、そういうのが分からなかった。 だから安易に手を出せないというか…。 戸惑っていると、先輩は眉を下げて、不安げな顔で俺に尋ねた。 「俺なんかとしたくない…?」 ……………は?何言ってんだ、この人。 俺"なんか"と? 先輩"だから"大切にしたいんだよ。 はー、もう。この人なんも分かってない。 先輩の肩を掴んで、体を逆転させた。 さっきまで押し倒していたはずなのに、押し倒されている状況に頭が追いついていないのか、先輩はキョトンと俺を見つめる。 「あーー、もう!!なんなんですか?!」 「へ…?」 「したい!!したいですよ!!すっげーしたい!!ずっとしたかった!!」 「じゃあなんで…?」 「嫌われたくなかったからですよ!やっと帰ってきてくれたのに、引かれたらどうしようって!」 これは逆ギレになるのだろうか。 でも先輩が悪い。 俺は先輩に触れたくて触れたくて仕方ないのを、ずっと最小限に抑えようとしてたのに。 先輩に嫌われたくなくて、すっげー我慢してたのに。 「迎えにきてくれた時したじゃん。」 迎えに…。 あのホテルでしたやつか。 「あのときは感情抑えきれなくてどうしようもなくて…っていうか…。」 自制が効かないくらい、自分ではどうしようもなかった。 先輩が無事だった安心感と、先輩がまだ俺のことを好きでいてくれて堪らなくて…。 気づいたらキスしてた。 「そもそも、キスしたら普通のキスじゃ終われる自信ないから。」 「え…?」 「先輩の唇こじ開けて、余すとこなく全部味わいたい。喘ぎ声止まんなくなっちゃうくらいとろとろになるまで口内犯して、俺以外じゃ満足できない体にしてやりたい。」 欲望を声にしてぶちまけた。

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