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第183話
気付かれたなら隠す必要はない。
わざとグリグリとお腹に押し付けると、先輩は俺の頭を引き寄せ、深いキスをしてくれた。
「んっ…んん…」
一生懸命に舌を使って、俺を気持ち良くしようとしてくれている先輩。
可愛い。
可愛いんだけど……。
「下手くそ。」
「えっ。」
「もっと舌絡めて…」
「んふっ…♡」
俺から舌を動かして、先輩をリードする。
苦しそうに、でも気持ちよさそうに声を漏らす先輩に、興奮がどんどん高まっていく。
舌を絡めると、応えるように先輩も絡めてくれるのが嬉しい。
先輩の髪を梳きながらキスで愛撫していると、先輩は俺の腰に足を絡ませた。
「……これ、ダメだ。」
先輩のお尻が時々先端を掠める。
これで抱けないなんて地獄かよ…。
先輩のこと見たら余計に気持ちが強くなりそうで、なんとか先輩から目を逸らす。
視界の端で不思議そうに首を傾げるから、この人まさか分かってないのかと頭を抱えそうになった。
「………抱きたくなる。」
耳元で囁くと、先輩は一気に顔を赤く染めた。
恥ずかしがってるなら、それでいい。
今は離れてくれないと、俺本当に何するか……。
そう思っていたのに、先輩は俺の腰に絡めた足の力をさらに強くした。
「は…っぁ、先輩…ッ……」
「城崎……」
本当に無理。
耐えられない…。
自分の息が荒くなってて、深呼吸とかそれどころじゃなくて、余裕がなさ過ぎて笑えてくる。
でも、ダメだ。
先輩に手ぇ出しちゃダメ…。
先輩の体は、きっとまだ俺のことが怖いんだから…。
「マジでダメ。」
「どうして…?」
「そ、それは……」
口ごもると、先輩は眉を八の字に下げた。
不安にさせたいわけじゃない。
先輩が悪いわけでもない。
勘違いさせたくなくて、慌てて先輩を抱きしめた。
「疾しいことがあるわけじゃないから!!先輩も何も悪くないし!!」
「え…?」
「ただ…、そのなんていうか…、先輩の身体が心配なだけで…。」
どう説明すればいいんだろう?
正直に伝えると、先輩はもしかしたら自分のせいだと感じてしまうかもしれない。
先輩のせいだなんて、これっぽっちも思ってない。
むしろ先輩を不安にさせた俺に全責任があるし…。
つーか、怖がらせるとかそれだけじゃなくて、物理的にも無理というか…。
記念日だなんだとはしゃいでいたあの日から、俺と先輩はシてないわけで……。
「大丈夫。」
先輩は俺の服の裾を握った。
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