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第186話

急いで戻って、先輩の隣でぐっすり眠ろう。 そう思っていたけど、ソファにシミが残らないように頑張っていたら30分が経っていた。 もう寝てるだろうな…。 途中からやや諦めムードで、時間をかけてしっかりとシミを取ることに専念した。 「やっと終わった…。」 ソファのシミは綺麗に抜けた。 これで先輩も気にすることはないはず。 寝室のドアを開けると、先輩は枕元で三角座りしながら膝に頭を伏せていた。 ドアの音でパッと顔を上げ、俺を見て嬉しそうに笑う。 「城崎っ!」 「え?!先輩、まだ起きてたの??」 「普通待ってるだろ。」 そんな嬉しそうな顔してくれるなんて。 先輩、俺のことすげー好きじゃん…。 やば…。幸せ…。 「だったらもっと早く終わらせればよかった…。ごめんなさい。」 「ううん。片してくれてありがと。明日仕事だろ?もう寝ようぜ。」 「うん。」 先輩に誘われ、ベッドに入る。 こうやってまた先輩を抱きしめられる日がくるなんて。 諦めなくて本当によかった。 まぁ、初めから諦めるなんて選択肢、俺にはなかったかもしれないけど。 感動を噛み締めながら、先輩を抱きしめる。 「城崎……」 「ん…?」 「おやすみ。」 ふに。 先輩から、触れるだけのキス。 これって、おやすみ前のキスだよな…? 「先輩…」 「んっ」 俺からも返すと、先輩はくぐもった声を出した。 あー、もう…。 「んぅ…っ、ふ……」 先輩を組み敷いて、唇を割って口内に舌を入れる。 堪んないな…。 歯列をなぞると、先輩の体に一瞬力が籠る。 気持ちいいみたいだ。 もっと気持ちよくするには、どうすればいいんだろう? 角度を変えたり、なぞり方を変えたり…。 いろいろ試していたら、先輩の反応は良くなるどころか、だんだん薄くなってきていた。 「先輩…?」 「…………」 「寝ちゃった……?」 キスに夢中になっていたら、先輩は体力の限界なのか、いつの間にか眠ってしまっていた。 そりゃそうか。 今日だけでいろいろあったもんな…。 「先輩、おやすみ…。」 額、瞼、頬。 触れるだけのキスを落として、俺も眠りについた。

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