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第208話
悶々として寝つきが悪かったけど、3時間はしっかり眠れたと思う。
起きると先輩はスヤスヤとまだ夢の中。
先に起きて珈琲を淹れていると、先輩が眠そうに目を擦りながらリビングに現れた。
「……はよ。」
「おはようございます♡」
駆け寄って抱きしめてキスすると、照れくさそうにしながらもキスを返してくれる。
うん。めちゃくちゃ元気出た。
今ので眠気吹っ飛んだし。
「城崎……、あの…さ…」
「はい?」
「今日も…、する……?」
先輩は頬を赤らめて、小さな声で俺にそう尋ねた。
する…というのは、愛撫のことだろうか?
してほしいなら、いくらでもしてあげますが。
「先輩がいいなら是非。」
「………今日は俺も頑張るから…。」
「へ……?」
先輩が頑張る…?
そう言われて頭の中に浮かんだのは、俺の上に跨って必死に腰を動かす先輩の幻想。
……ダメダメダメ!!
俺ってば何考えてんだよ?!
「……昨日は…、城崎ばっかりしてくれたじゃん…?だから…、今日は俺が……」
「いやいやいや!大丈夫です!俺は先輩を愛するだけで十っっっ分に満たされてますから!!お気になさらず!」
「でも……」
「本っっ当に大丈夫なんで!」
触られた日には多分暴発する。
そんな情けない姿、好きな人に見られたくない。
それに、我慢できなくなって、嫌がる先輩を無理に押し倒したりなんて考えたら………。
「とにかく大丈夫ですから!」
「……わかった。」
「それよりほら!珈琲!冷めないうちに飲んでください!」
「ありがとう。」
先輩は浮かない顔をして、俺の淹れた珈琲を飲んでいた。
何か間違えた?
先輩に気を遣わせたくない。
俺なんかのために余計な労力使わせたくない。
お互い無言の時間が流れ、先に口を開いたのは先輩だった。
「なぁ、城崎……」
「はい…。」
「やっぱり俺、今日は城崎のこと気持ちよくしたい。」
「…………」
「ダメ…?」
願ってもない申し出だ。
だけど……。
俺、耐えられるのか…?
「俺に触られるの嫌か…?」
「そんなわけない!!」
「俺は城崎に触れたいよ。城崎が俺で感じてくれてる顔見たい。俺ばっかりじゃなくて、城崎にも気持ちよくなってほしい。」
「…………」
「だから、今日は愛し合おうよ…?」
先輩は俺のそばにきて、後ろから抱きしめてくれた。
先輩がそんなふうに思ってくれてたなんて、めちゃくちゃ嬉しい。
俺と同じように、先輩だって俺を愛したいんだ。
なのに、俺は自分のことばっかりで…。
「先輩…、好き……。」
「うん。俺も好きだよ。」
「大好き。愛してる。俺も先輩に触れてほしい…。」
「へへ。じゃあ今日は全身全霊で愛してやるよ。」
男前すぎるセリフにキュンとした。
でも先輩、ごめんなさい。
俺はそれ以上に先輩をとろっとろに甘やかして、男前な年上彼氏から一変、可愛い系彼氏にしてあげます♡
内心そんなことを企みながら、珈琲を飲み終えた先輩とソファベッドで唇を重ねあった。
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