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第222話
手を繋いで一緒に帰って、お風呂もご飯も先輩のそばから離れなかった。
口を開いたら、色々問い詰めてしまいそうで、先輩に嫌なことを思い出させたくなかったから、ずっと黙っていた。
先輩は優しいから、少し困った顔をしてたけど、俺を引き離そうとはしなかった。
あとは寝るだけ。
それでも離れない俺を見て、先輩はとうとうしびれを切らしたらしい。
「城崎、ずっとくっついてたら何もできないって…。」
「…………」
「城崎さーん…?」
話したくない…。
でも、気になる。
すっげー気になる…。
先輩は話そうとしない俺が心配なのか、それとも単に暇なのかは分からないけど、俺の頬を摘んだり離したりして遊び始めた。
聞いてもいいのかな…。
「擬似精子ってなんですか…。」
「え?」
「先輩言いましたよね。どこにつけられてたんですか?」
「ど、どこにって…。」
「あの人、先輩の善がる声とか仕草がなんだって俺を煽ったんですけど、実際セックスはしてないじゃないですか。どこまで見られたんですか?」
「え……っと……」
先輩は分かりやすく口籠った。
俺に言いづらく、しかもあれだけ抱かれてないって言っても疑っていたってことはきっと…。
「先輩が勘違いしたってことは、きっと裸だったんですよね…。はぁ………。」
「し、城崎…」
否定しない。
起きたら裸で眠っていたってことなんだろうな。
そりゃワンナイトだって勘違いしちゃうよな…。
「先輩の綺麗な身体、全部俺だけのものなのに。」
「そうだよ。城崎のものだよ。だから…」
丸出しの独占欲を先輩は否定しなかった。
受け入れてくれる?
先輩を試すように尋ねる。
「じゃあ俺のだって印、いっぱい付けてもいい?」
「見えるところはダメだぞ?明日も仕事なんだから…。」
「分かってる。」
優しすぎるよ、先輩…。
その優しさ、俺だけにしてね…?
先輩の腰を抱き寄せ、服を捲って皮膚を吸い上げる。
「んっ…」
唇を離すと、先輩の綺麗な肌に紅く痕が残る。
嬉しくて、たくさん印を残した。
「城崎…っ」
「ふふ。俺の先輩…」
愛おしくて堪らなくて、キスマークを撫でてもう一度キスをする。
シャツで隠れるところに、余すところなく印を刻む。
知らない人が見たら、蕁麻疹を疑ってしまうくらい。
ぎゅーっと先輩を抱きしめて目を瞑っていると、先輩は突然大きな声を出した。
「あぁっ!!!」
「何…?どうしたの…?」
「な、なんでもない!」
声で起きてしまったけど、本当に何もなさそう。
トイレに行くわけでもなさそうだし…。
まぁいっか。
先輩を抱きしめて、もう一度眠りについた。
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