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第224話

「なぁ、城崎。そろそろやめ……ッ」 「先輩っ?!」 先輩が包丁を落とした。 すぐに駆けつけると、幸い落とした包丁は足に当たってはいなかった。 指は少し切れたのか、じんわりと血が滲んでいた。 「ちょっ…、城崎?!」 俺は咄嗟に先輩の指を口に含んだ。 先輩の身体がピクッと揺れる。 感じたのだろうか? それとも嫌だった…? 「絆創膏持ってくるから。それまで水で流しててくださいね。」 「うん…。」 廊下に出て、戸棚から救急箱を取り出す。 何かあったときのために一番手前に入れててよかった。 すぐに持ってリビングへ戻ると、先輩は傷口を水で流しながらぼーっとしていた。 「先輩?」 「うわっ?!早いな。」 「救急箱はすぐ出せるように、一番手前にしまってるので。それより顔赤い?大丈夫ですか?」 「だっ、大丈夫!」 心配すると余計に赤くなってしまった。 気になるけど、今はとにかく手当しないと。 消毒液とガーゼを出して、ケガした部分を消毒する。 透さんに救急箱作ってもらってよかった。 欲しいものなんでも出てくる。 薬を塗って、絆創膏を貼って、これだけすれば治りも早いだろう。 「あとは俺が作りますから。先輩はゆっくりしてて?」 「でも…」 「いいから。」 これ以上先輩がケガしたら、俺の身が持たない。 先輩が途中まで作ってくれていたものを完成させる。 なんだか二人で作ったって感じがしてイイな…。 俺には見るなって言ってたくせに、先輩はじーっと俺が料理するのを見ていた。 「手際いいな…。」 「そりゃ、毎日大好きな先輩のために練習してますからね。先輩だって、その辺の人よりはできるじゃないですか。」 「でも怪我した。」 「それは俺が邪魔したから。ごめんなさい。まだ痛む?」 「痛くないよ。大丈夫。」 切ったから痛いでしょ…。 強がりなのか、本当に痛みに強いのか。 料理もある程度終わったから、手を止めて先輩を抱きしめに行く。 「愛してる。好きだよ、先輩。」 「な、なんだよ急に…!」 額や耳にキスをしながら愛を囁くと、先輩は照れくさそうに俺を押し退ける。 もー。かわいい。 「あと味噌汁作るだけだから。お湯ができるまで先輩チャージ♡」 「んっ…」 とろん…と目を垂れさせて、気持ちよさそうに俺のキスを受け入れる。 舌を絡めると、気持ちいいのか少しだけ先輩の腰が揺れる。 お尻を撫でると、気持ちよさそうに声を漏らしながら、身体を震わせた。 やべぇ。まじで可愛い…。 挿れたい…。 無意識に手が伸び、人差し指が先輩のお尻の穴を掠めた。 「っ!!」 先輩は逃げるようにビクンッと大きく身体を反らした。 ミスった…。早すぎた。 まだ先輩の体は俺を受け入れる準備が整ってないのに…。 「ご、ごめんなさい!」 「いや、違うんだ…!俺の方こそごめん…。」 「そ、そろそろお湯できたかな〜。見てきますね。」 俺はショックだったのがバレないように、そそくさとキッチンへ逃げた。

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