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第225話
食事を終えて、風呂を沸かす。
頭を冷やすために、風呂は別に入ることにした。
今一緒に入ったら、誤作動起こしそうだし。
先輩と入れ替わりで浴室に行き、湯船に浸かる。
まだ拒否反応はある。
それが分かっただけでもいいことだ。
だって、調子に乗って先輩を抱こうとして、それで拒否される方がツラい。
先輩はきっとツラくても嫌だって言わないもん。
俺が気づいて、俺が我慢しないと…。
頭から水を被って、物理的に頭を冷やして風呂から上がった。
なんかさっぱりしたな…。
「先輩…、もう寝た…?」
寝室のドアを開いて尋ねると、先輩がぐるりと俺の方に寝返りを打って、布団を捲った。
「起きてるよ。」
隣に来てくれと言われているようで、吸い込まれるように先輩の隣に寝転がる。
先輩は俺を抱きしめてくれた。
嬉しくて俺も抱きしめ返すと、先輩は申し訳なさそうに小さく呟いた。
「さっきはごめん。」
「え…?」
「気にしてるんだろ?」
きっと先輩はさっきのことを言ってくれてるのだと思う。
先輩が謝ることなんて一つもないのに…。
俺が焦ったから…。
「先輩、本当にごめんなさい…。」
「なんで謝るんだよ?つーか、嫌じゃないから。」
「だって…」
先輩は嫌じゃないって思ってくれても、拒否反応が出てる。
先輩の体に負担をかけたくない。
そう思っていたけど、先輩は納得いってなさそうな表情だった。
「身体が跳ねるのはさ…、その…、前からじゃん…。」
「え?」
「敏感なとこ触られたら反応するだろ、そりゃ…。」
「え?え??」
な…?!えっ…?
拒否反応じゃなくて、感じて身体が反応してただけってこと…?
「あー、もう!全部言わせんな!!」
腕を掴まれ、先輩のズボン…、いや、パンツの中に手を突っ込まれる。
手のひらに柔い感触。
これは……。
「俺はお前のこと好きなんだから、恋人なんだから!だからっ…、どこでも触っていいんだってば!おまえががっついてこないと、なんかこう…、変なんだよ!バカ!」
「先輩……」
そんなふうに思ってくれてたなんて。
俺、自分のことすげー変態だと思ってたけど、先輩すげームッツリスケベじゃん…。
大好きなんですけど。
「あ!!」
「先輩…?」
お尻を撫で回したい気持ちに駆られていると、先輩が時計を見て固まる。
不思議に思って時計を見ると、ちょうど0時になった。
「城崎、誕生日おめでとう。」
「へ?」
「25歳。………え?合ってるよな?」
誕生日は7月22日。
あ……。
「忘れてました…。本当だ。いつの間にか誕生日だ…。」
先輩が出て行って死にたくなったりとか、やっと仲直りして嬉しかったりとか、心の余裕もなければ、仕事も溜め込んだせいで忙しくて完全に忘れていた。
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