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第227話
先輩は俺を抱きしめて、真っ直ぐ目を見つめた。
「後悔なんてしないし、怖くもないよ。大丈夫。」
「ほ、本当に……?」
「なんで嘘つくんだよ。つーか、俺だって足りてねーんだよ。」
足りてない…?
「あ、あんなに喘いで射精しまくってたのに…?!」
「バカ!!物理的にじゃなくて、気持ちの問題な?!体はおかげさまで疲労困憊だよ。」
先輩は俺の言葉を焦って訂正した。
そっか。気持ちか…。
先輩も不安だったんだ。
俺、先輩の心も体も全部愛していいんだ。
「先輩…。」
「おぅ…。」
先輩の前に正座すると、先輩も俺の前に正座した。
「抱かせていただいてもよろしいでしょうか…。」
「こちらこそ。よろしくお願いします。」
お辞儀した先輩を抱きしめようとして、ふと頭をよぎる。
今日何曜日だ?
起きたら仕事だよな?
このまま抱いたら、100%先輩は朝動けない。
先輩の立場を考えろ。
主任だぞ、主任。
俺みたいなペーペーじゃないんだ。
彷徨う手を先輩の肩に置いて考えた結果。
「何……?」
「明日仕事じゃないですか…っ!!」
「え、うん…?」
「今抱いたら、先輩動けなくなっちゃいます。だから今夜はお預けで。」
「え?」
「さぁ、寝ましょう!」
先輩を寝転がし、俺も横に寝る。
目を閉じて、深呼吸。
おさまれ…。
完全に勃ってしまっているから、寝るまでは時間かかりそう。
隣で横になる先輩は、天井を見つめてボーッとしていた。
「先輩。」
「………」
反応がない。
もしかして、選択肢間違えた?
いや、でも先輩だってこれ以上は仕事に穴をあけたくないはず…。
「せーんぱいっ!」
「へ…?」
肩を叩くと、やっとのことで反応した。
うん。
定時で終わらせて急いで帰ろう。
この人のこと、でろっでろに甘やかしたい。
先輩の耳に手を当てて、俺なりに出せるであろう最高にエロい声で囁く。
「仕事が終わったら、めちゃくちゃに愛してもいいですか…?」
先輩はボンッと音が鳴りそうなくらい赤くなって、布団の中に隠れてしまった。
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