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第232話

「はっぁ♡し、城崎っ…!だめ……っ」 先輩は既に限界だったのか呆気なくイッた。 賢者タイムに入り、さっきまで反り上がるほど興奮していたものがくたりと力なく萎れる。 「よし。今のうち。」 「勘弁して…」 残りの部分も綺麗に剃って、つるんと肌触りのいい最高の仕上がりにした。 「完璧。先輩、終わりましたよ。」 「……城崎、先上がってて。」 「うん?分かりました。」 スッキリした俺の表情とは反対に、思い詰めた顔をして俺を浴室から追い出す先輩。 もしかして準備…? ………なんてね。 誕生日だからって期待しすぎだ、俺。 期待して、そうじゃなかった時が一番辛いし。 でもあんなこと言われて期待しないわけないよな。 先輩と繋がりたい。 だけど、無理はさせたくない。 だから、たとえ先輩が強請ってきたとしても、物理的に無理ならちゃんと()めるつもりだし…。 その代わり、先輩が嫌になるくらい何度も気持ちを伝えたいし、気持ち良くさせてあげたい。 そんな期待を持ちながら、最近買ったバスローブを用意する。 先輩の分は茶色、お揃いで俺のは黒。 肌触りもいいし、絶対似合うし、気に入ってくれると思うんだよな…。 黒のボクサーパンツと一緒に畳んで置いた。 髪も乾かして、歯も磨いて、気持ちの準備もおおよそ完了。 あとは先輩を待つだけなんだけど…。 もう俺が上がって15分は経つと思う。 中から感じてる時の先輩の声が聞こえるわけでもない。 不安になって浴室のドアをノックする。 「先輩?大丈夫?」 「も、もう出る!」 焦ったような声と物音がする。 驚かせてしまったらしい。 でも無事だったのがわかって安心する。 「本当?じゃあ先にベッドで待ってるね。」 先に脱衣所を後にし、寝室へ向かう。 部屋の中はムワッと夏特有の蒸し暑さが充満していた。 冷房をつけ、部屋のドアを閉める。 一気に冷たい空気が部屋を冷やしていく。 ベッドサイドテーブルの引き出しを開けて、中を確認する。 よし……。 先輩のニップレス買った時、ゴム切らしてたこと覚えててよかった…。 新品の箱を開封し、すぐに取り出せるように準備しておく。 先輩の気持ちが冷めないように、雰囲気作りも忘れずに。 バスローブの胸元を下品じゃない程度にはだけさせ、ほんの少し香水を振る。 部屋は間接照明だけつけて、妖しい雰囲気を作った。 心臓が強く脈打つ。 初めての時と同じくらい緊張してる。 先輩に上手く気持ちを伝えられるだろうか? 先輩は気持ち良くなってくれるだろうか? 不安と期待を胸に、先輩を待った。

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