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第237話
先輩の表情を見ながら、前立腺をぐにぐにと指圧する。
射精を伴わない絶頂は、先輩を何度も何度も襲っているようだ。
「綾人、気持ちいいの?」
「ふぅぅ…」
ぐったりとベットに横たわる先輩の体力は、なかなか限界に近いと思う。
もうこれ以上は無理かな…。
「城崎…っ」
「ん?」
「挿れて…っ」
「俺の指いっぱい咥えられたらね。」
先輩のお願いはとても魅力的なものだけど、先輩を無理させてまで自分の欲求を叶えようとは思わない。
気持ちだけでも嬉しくて、先輩の頬を撫でる。
「城崎…っ」
「気持ちだけで十分だよ。俺こんなに満たされて、本当幸せ者だなって実感してるし。」
「ぁっ…ぅ…、城崎…、城崎…っ」
十数回目のイキ顔を見届け、一旦指を抜く。
もう寝落ちするかと思って一瞬目を離すと、グイッと手首を掴まれた。
「気持ちよくしたい…っ」
「でも…」
どうやって?
今日アナルセックスをするのは物理的に厳しいだろうし、先輩の体力も残っていないだろう。
どうすれば叶えてあげられるか分からず固まっていると、先輩は指さして俺に命令した。
「足開いてそこ座って。」
「え?」
「いいから!」
言われるがままにその場で胡座をかくと、先輩は俺の勃起したペニスに顔を近づけてきた。
嘘だろ?
待て待て待て。我慢できる自信ない。
去年の誕生日を思い出す。
………我慢できずに先輩の喉奥突いた記憶が鮮明に蘇った。
「ちょっと待って…。」
「何だよ?」
先輩の額を手のひらで押し返す。
ダメだ。うん。よくない。
「これは…、その……」
「気持ちよくしたいって言ってんだろ。」
「でも……」
フェラしてほしい気持ちは山々だ。
でもそんなの、俺は気持ちよくても、先輩は苦しいだけじゃないか。
先輩に辛い思いしてほしくない。
セックスもそうだ。
こんな狭い中に無理矢理突き入れて、先輩は痛いだろうに。
そう思うと、理性が働いて踏み止まってしまう。
「でもでもうっせぇんだよ!」
「ちょ…?!」
先輩は俺の手を払いのけ、すごい剣幕で捲し立てた。
「何?俺がそんなに貧弱に見えるか?ずっと守ってもらわなきゃダメな人間に見えるかよ?!俺は城崎の……、夏月のこと気持ちよくしたいんだよ!!」
先輩の本音。
嬉しくて、全力で抱きしめる。
「好きです…。大好き。だから……」
俺を気持ちよくしたいって思ってくれてるのは十分に伝わってくる。
だからだよ。
大好きだから。
愛してるから、傷つけたくないんだ。
「俺のこと大切にしてくれてるのは伝わってるよ。大丈夫。」
「うん…」
「その…、な、夏月だって俺のこと気持ちよくしたいって思ってくれてるだろ?」
「うん。」
「俺も同じ気持ちだよ。おまえのためにしてあげたい。多少痛くても苦しくても大丈夫。俺のこと信じてよ。」
先輩は俺の頬を両手で包んで、目を合わせて伝えてきた。
先輩も同じ気持ち…。
「どうしてほしい?」
俺、我儘言ってもいいのかな…?
「一緒に……、繋がって一緒に気持ちよくなりたい…です…。」
「うん。俺も。」
本当の気持ちを伝えると、先輩はニカッと笑って、俺の唇にキスをした。
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