8 / 33
悠介の独り言
今日はあの子に会わなかったなぁ…
さすがに4週連続遭遇することはない…そう思ってはいたけどどこか期待していた。
だから残念
元気になったならそれでいい。
でもやっぱり気になる
「…け…悠介っ」
やや怒り口調の親父が俺を呼んだ
「え?」
「聞いてなかったのか?一般的な科の研修はほぼ履修したんだろう?ホルモン内科の研修の件だ。αβ棟はまず問題無いだろうが…Ω棟だ。
おまえの力は強い。強いαのおまえがΩの群れに入ったことによりΩがヒートに陥る可能性がある」
「β化していれば問題無いのでは?」
「問題はおまえだ。αの発情期であるラットになったらどうする?ただでさえ性依存の気があるんだ。患者を食ってからじゃ遅い。ラット状態なら間違いなく妊娠させてしまう」
「なったことないからわかんないけど…悲惨な状況なのは想像がつく」
「十分用心しろよ」
「抑制剤はちゃんと飲んでるから大丈夫と思うけど…一応緊急抑制剤も持っていくよ」
「そうしなさい」
神妙な面持ちで親父は頷いた。
ともだちにシェアしよう!