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ラット

睦月は逃げ場のない恐怖に、いけすかない…そう感じていた若い医者にすがるような視線を送った (たすけて…っ) 睦月のその視線に気づいた悠介はぐっと唇を噛み、とっさに先輩医師の腕を掴んだ 「なっ!西園寺くんっ何を!」 「西園寺先生…。目つきが…なんだかおかしいですよ」 「手を出すなっ!」 「西園寺くん!検査中だよっ」 「その子を解放しろ!!」 「先生、何を言ってるんですかっ。検査妨害するとか正気ですか?!」 榊は悠介の手を先輩医師から離そうと2人の手を掴み制止したが、悠介が榊と先輩医師をそれぞれ左右に突き飛ばし、悠介は睦月の元へと駆け寄った。 「うぅっ!いってえーっ」 「…っ!」 尻もちをついた榊は叫び、予想だにしない事態に先輩医師は驚いて言葉を失い、 悠介はそんな2人を気にせずに、睦月のベルトを外しにかかった。 どうしたって言うんだ?まるでラット化したαじゃないか。西園寺先生はβなのにっ 榊と先輩医師は悠介の変貌に恐怖を覚え、また目の前に映る光景が信じられずそのまま床に座り込んでいた。

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