25 / 33
ラット
睦月は逃げ場のない恐怖に、いけすかない…そう感じていた若い医者にすがるような視線を送った
(たすけて…っ)
睦月のその視線に気づいた悠介はぐっと唇を噛み、とっさに先輩医師の腕を掴んだ
「なっ!西園寺くんっ何を!」
「西園寺先生…。目つきが…なんだかおかしいですよ」
「手を出すなっ!」
「西園寺くん!検査中だよっ」
「その子を解放しろ!!」
「先生、何を言ってるんですかっ。検査妨害するとか正気ですか?!」
榊は悠介の手を先輩医師から離そうと2人の手を掴み制止したが、悠介が榊と先輩医師をそれぞれ左右に突き飛ばし、悠介は睦月の元へと駆け寄った。
「うぅっ!いってえーっ」
「…っ!」
尻もちをついた榊は叫び、予想だにしない事態に先輩医師は驚いて言葉を失い、
悠介はそんな2人を気にせずに、睦月のベルトを外しにかかった。
どうしたって言うんだ?まるでラット化したαじゃないか。西園寺先生はβなのにっ
榊と先輩医師は悠介の変貌に恐怖を覚え、また目の前に映る光景が信じられずそのまま床に座り込んでいた。
ともだちにシェアしよう!