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逃走
なんで…っ…何が起きてる…?
あの医者が急にもう1人の医者と看護師を突き飛ばしたと思ったら、椅子の拘束ベルトを外しにかかって…。
「睦月…」
「ど…うして…」
「きみが助けてと言っているように聞こえた」
たしかに、たすけてとは思ったけど…まさか、本当に助けてくれるなんて
「逃げるぞ」
「え…っ」
悠介は裸のままの睦月を抱きかかえ、逃走した。
「なっ!西園寺先生っっ!」
「西園寺くんっ」
先輩医師は電話を取り
「理事長っ、ご子息がΩの子を抱えて逃げました!」
〝なんだと…っ悠介が!?〝
「はい、何故だかラットのような状態になりまして…」
〝とんだ失態だ。内密にしてほしいが悠介はαだ〝
「は?」
〝抑制剤を使って力を抑えていたが、Ωの子に触発されたんだろうな〝
「いや、でも…仮にそうだとして、Ωの子は薬で擬似的に発情状態ではありますがはじめてのヒートも迎えていない未発情の子です」
〝まだ悠介に番がいない。もし、本能がその子を運命の相手に選んだのならそうなることもありえる〝
「どうしたら?」
〝探せ。悠介に緊急抑制剤の投与を。Ωの子は至急保護を。悠介に触発されて突然発情期に入る可能性がある。薬の抜けていないいま発情期を迎えると厄介だ〝
「了解しました。榊くん、2人を追いかけるぞ」
「は、はい!」
2人は立ち上がり、悠介と睦月を追った。
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