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日常生活-2
「…………」
『母さんが瑠衣さんには絶対話しておけって。俺のためだからって』
晶くんのあの言い方からするに叔母さんには気づかれてる。
そういや、この間いわれたっけ。
「まぁ晶くんは気づいてないみたいだけど」
まぁ。
バレたんなら仕方ないか。
そして。
次の日曜日。
「ねぇ、瑠衣くん」
「なんです?」
「晶がΩなのは聞いた?」
「聞きましたよ」
「晶の子供が見れないかもってちょっと残念だったんだけど。Ωなら可能性あるでしょ?」
これは決まりだね。
叔母さんは気づいてる。
「叔母さん」
「ねぇ、瑠衣くん?晶のこと好き?」
隠しても無駄だし本当のことを答える。
「えぇ。好きですよ」
「それを聞いて安心したわ」
「もし私たちに何かあったらお願いね」
何かあったらって。
まるでこれから何かが起こるような言い方じゃない。
けれど。
それはすぐに起きた。
新学期が始まって、ゴールデンウィークに晶くんをどこに連れて行こうか考えていた時。
珍しくとおるから電話がかかってきた。
***********
「ん?電話?」
「もしもし?」
『瑠衣か?俺だ』
「とおる?どうしたの?」
『さっき母さんから連絡がきた』
嫌な予感がした。
有島のおばさんからってことは、きっと晶くんとこで何かあったんだと思う。
『親父たちが心中したって』
心中!?
晶くんは?
「晶くんは?」
『何とか一命はとりとめた』
「どこの病院?」
『隣町の病院だ。今行っても面会謝絶だしまた目を覚ましていないからな』
「しばらくしたら行ってみるよ」
叔母さんたちは晶くんを大切にしていた。
なのに何故?
『もし私たちに何かあったらお願いね』
そう言えばそう言っていたな。
まさか叔母さんは気づいていた?
とおるから叔父さんたちが心中を図ったと聞かされてから一週間。
毎日のようにニュースが流れていた。
まるで|由貴の家《猪熊家》が悪者かのように。
「由貴、ほとぼりが覚めるまでは来ない方がいい」
由貴をかばうわけじゃない。
あの子は今まで散々傷ついてきたのに。
これ以上傷つかなくていいんだ。
晶くんが目を覚ましたのはそれからさらに一ヶ月後だった。
「今日も脈拍も血圧も特に問題ないわね」
いつものように晶くんの状態を確認する看護師。
「2週間か。ねぇ、晶くん。目覚まして」
どうか。
晶くんが叔父さんたちに連れていかれませんように。
そんな思いでいっぱいだった。
晶くんが目を覚ましたのはそれからさらに一週間たってからだった。
晶くんがあんな暴言を吐くとは思いもしなかった。
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