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サンルーム
気が付くと、体も髪も洗われ、清潔な夜着を着て、与えられたベッドの中にいた。
体は全く傷まないし、腹の中もなんともない。
が…、
体中から、得も言われぬ悪臭がする気がした。
涙が静かに流れた。
「スウェイン様、お目覚めでしょうか。」
涙を拭い、息を吐く。
「あ、ああ、今、何時だ。」
「11:30でございます。お水を如何ですか?喉が渇いておられるかと。昨夜は飲み過ぎて寝てしまったと伺いました。」
飲み過ぎて…。
「貰おう。」
長く仕えてくれている側仕えですら、その理由を信じているらしい。
…それで、いい。
あのような事、話せる筈もない。
「明日、午後15:00頃、宰相閣下の執務室へ来るよう、仰せつかっております。」
「…、わ、分かった。」
今日は体を休める日らしい。
自室ではなく執務室に呼ばれたという事は、あのような事にはなるまい。
そう思い、久しぶりの食事をなんとか腹に入れた。
翌日、指定された場所へ行くと、執務室内は機密文書もあるからと、侍従は下がらせられた。
心配する者達に微笑んで頷き、宰相の前へ連れて行かれると、まずはお茶を飲みましょうと促されてサンルームへ向かった。
明るい日差しが柔らかく注ぐサンルームは、花々が甘い香りを漂わせ、暖かい。
小さなホールの窓際にテーブルが置かれ、奴隷達が待っていた。
足が鈍る。
あの奴隷達だ。
促されて席に着くと、お茶が運ばれた。
たわいもない話をしながら、ひと口、ふた口飲んで、勧められるまま甘い菓子を食べる。
高い気温とお茶で、体が温まるのを感じる。
お茶を2杯程飲んで、軽食を平らげた宰相が、ふと思い出したとでも言うように言った。
「ああそうじゃ、昨夜貴方の為に考えた事があるのですよ。」
嫌な予感しかしない。
「どのような、事でしょうか。」
「貴方を完璧な王子にして差し上げようとおもいましてな。さあ、服を脱いでご覧なさい。わしが何が足りないかを見てあげよう。」
「な、何を…、、そんな、このような場所で、まだ日も高いというのに…。」
「夜は暗いのでね、わざわざ明るい時に見て差し上げるのですよ。さあ、わしは忙しいのだ。早く脱ぎなさい。」
こんな…、明るい場所で…。
その段になって、気が付いた。
……勃って…。
「ほほ、お若い事だ。先日の事を思い出されてそのように…。」
「こ、これは…、ち、違うのです。く、薬か何か…、わ、私は、そんな…。」
まさか、ここで…。
「恥ずかしがらずとも良い、親密な関係なのだ。ですが、わしは歳ですからなあ。あのような事は、3日に一度と決めております。」
3日…、、
ホッとした。
今夜も、平穏に眠れるらしい。
その体では、あのような事は流石に…。
「さあ…早くお脱ぎなさい。」
「あの、だ、誰かが入って来るかも知れません。別室を…。」
「脱がされたいのかそれとも、罰が欲しいか。」
……、私には…。
「ッ、、わ、分かり…ました。」
覚束ない指先でゆっくりボタンを外し、上着を脱ぐ。
が、宰相がテーブルを指でトントンと叩いたのを聞いた途端、奴隷達が動き出した。
腕を捕られ、素早くシャツとインナー、下衣も脱がされた。
「下履きも脱がせて欲しいのか。」
「じ、自分で、脱ぎます…。」
「早くしなさい。」
「…、、……。」
腰の紐を解き、足下に落とす。
赤くなった胸と勃ち上がってしまったペニスを隠し、目を閉じ俯く。
「腕を脇に…、なに、親密な関係なのだ。今更何を恥ずかしがる。」
「こ、こんな日の光の中で、恥部を曝すなど…。」
トントン!
背後から手が伸びる。
「やっ、やめっ、…お、おやめ下さい、このような、破廉恥な…。」
両腕は簡単に体から引き剥がされた。
プルリと真っ赤になったペニスが顔を上げる。
「ヒヒ、シミも傷も無い、まるで献上品のように美しいのう。さあ、わしに見せなさい。全て、よおく見てあげよう。」
そう言って近付いて来る宰相の目に、苦痛と恥辱が蘇り、膝が震え、涙が溢れる。
「…いや、いやあ…、、。」
「ヒヒ、泣いても誰も助けになど来ませんぞ。貴方はわしの物ですからなあ。」
頬を伝う涙をベロリと舐められ、ゾワリとしたのは、嫌悪か、寒さか、それとも、恐怖か。
ヒクッと喉が鳴ると、乳首をキツく抓られた。
「ヒッ、イイ…、、ック…。」
上がる悲鳴を最小限に抑える事しかできなかった。
「上に行きましょう、ここは少し寒い。」
花木に隠れるように配された扉を開けると階段があり、そこを登れば、更に散々と太陽の光が降り注ぐ、サンルームだった。
裸のまま、階段を登る。
背後から宰相が尻を撫でてきたが、腕を後ろ手に拘束されたスウェインになす術は無く、挫けそうになる足を、必死に動かした。
二階は一階よりも、暖かかった。
裸でいても、寒さを感じない程だ。
「このサンルームはわしが建てたんですよ。美しい花が好きでね。3階建てで、この上は、花に囲まれながら星を愛でる事もできるように、天井が開くようになっておる。」
さあ行きましょう、と促され階段を更に登る。
むせ返るような甘い花の香り。
熱気と湿気。
日が当たると暑い程だ。
その真ん中に置かれた、ソファとテーブル、そして、ベッドとバスタブ。
何をされるのか、または、させられるのか。
「……。」
が、どちらにしろ、良い事など起きはしない。
また、涙が滲んだ。
それを見られないように俯いたのに、顎をぐいと上げられた。
「ヒヒ、貴方が嫌がる姿は誠に良い。ですが、泣いてばかりではねえ。
話によると軍部では捕虜奴隷の一部は性奴隷になったようですよ。
毎日毎日皆に輪わされて、ペニスに鎖を付けられて歩くのだとか。
我が国の将軍は熊の獣人でしてね、体も大きいがアレも酷く大きいらしい。
そちらの方が、良かったですかな?」
「な、そんな…、…。」
「嫌になれば、すぐに軍部へ回して差し上げますぞ。」
「わ、私は、奴隷では、ありません。べ、勉学の為に、こちらに…。」
「おや、そうでした。勉強と親密な関係を作るために参られたのでしたな。」
尻をギュッと揉まれる。
「ぐっ…、、う…。」
「おや、貴方が言った言葉をお忘れか?いつでも思い出させて差し上げますぞ。」
「け、結構です。…お、覚えて、おりますのでっ。」
「覚えておられるかどうかは、実際にやってみせて貰いましょう。」
「な、何を、しろと…。」
「わしの疲れを癒すのも、貴方の仕事ですからのう。また、自慰を見せて頂こうかな。」
「こ、こんな、明るいところで…、、ど、どうか、日が沈むまで、待って下さい。」
「ああ、貴方の国は太陽を崇めるのでしたね。太陽神の前で淫らな事はならぬという事でしょうが、生憎、わしは創造の女神を信奉しておりましてな、関係ないのだよ。」
「あう…、、や、嫌だ…、で、できません…。」
トントン!
奴隷達にベッドへと連れて行かれ、四肢を鎖に繋がれ、首も固定された。
「ヒッ、やっ、やめて…、待って、ここでは、こんな、いやあー!」
抵抗など、初めから無いように膝と肘を結ばれて、膝を閉じる事もできない。
上向いたペニスが揺れる。
袋も、その下の後口も、眩しい太陽の日差しに曝された。
「ほほ、良い眺めじゃ。大人しく自慰をすれば良いものを…。さあ、お前達遊んであげなさい。達したくはないようだから、決して出させてはならないよ。」
奴隷達の手が伸びてきた。
宰相の視界を遮らないように、ペニスを扱き、胸を摘む。
「ああ、いやあ!!やめて、やっ、いやあーー!」
が、クチュクチュと音が立つのは、香油の為だけではない。
薬で煽られたペニスはすぐに張り詰め、射精感が湧く。
神の前で淫を犯す己の罪深さに、目眩がしそうだ。
が、
「あっ、……、、うう…。」
もう少しで、という寸前で止められて、腰が揺れる。
ハアハアと息を吐くと、また動きが再開された。
「あっ、ッアアーーー!!」
それまでよりも刺激が強く感じられ、腰が逃げる。
「神の前ではしたない声を上げて、堪え性の無い。少しは我慢も教えなければならんのう。」
根本を持たれ、天を向けられたペニスを優しく、丁寧に扱かれ、先端を撫でられ、鈴口を抉られる。
「やうう!、やめて、いやああー、も、もう、離して、ッアア!ッー、、……あうっ、、う……。」
そしてまた、寸前で手を離された。
まさか、これをずっと…?
「日が沈むまで、でしたなあ。あと2時間はありますが、まあ、頑張りなさい。わしは仕事をしていよう。」
宰相の元には、仕事らしい書類が2、3枚あった。
サインをする為のペンを持つ。
持ち手の先端が細くつるりとしていて、握る辺りが太くなっているペンだ。
ニヤリと、その口元が歪んだ気がした。
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