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治癒の意味
湯気のこもった明るい風呂場。
「貴方は美しい。私に愛でられるに値する。」
そう言って、涙に濡れる頬を舐め口付けて来る。
スウェインは硬く閉じた唇を、食いしばった歯を、何とか開く。
「貴方を愛でる為に沢山照明を付けさせたのだ。さあ、自慰をなさい。貴方の真っ赤な恥部を全部見せながらだ。」
スウェインは、足を開いた。
願っても無駄な事も、機嫌を損ねると更に酷い事も、この数日で体に叩き込まれた。
涙を流せば、更に興奮を煽る事も知っている。
言われた通りにするしかない。
が、先程、人前で排泄さえしたからといって、衆前で行う恥辱に慣れるものでも無い。
上下する手が、ガクガクとぎこちなく動く。
すると、
トントン!
宰相が指先で肘置きを鳴らした。
ビクッとスウェインの体が跳ねる。
「あ、や、やってます、や、嫌だ、やめろ!離せ!…うう、…じ、自分で、出来ます!ああっ!」
奴隷達が慣れた手つきで胸を転がし、ペニスを扱き上げる。
「ああっ、う……、っ、あぐ…、、う、う、くっ、ーーーー、ッーーー、うあ、、。」
あっという間に放逐したスウェインを、奴隷達がまた動かないように拘束すると、宰相がマットに乗り上げて来た。
「さあ、これからがお楽しみですよ。」
「や、まだ、あう…、さ、触らないで、そ、そこは、ああ、あっ、アアア!!」
射精後の敏感な性器をツウとなぞられただけで、あられもない声が上がる。
扱かれれば、のたうち回りたい程の刺激がソコに齎された。
が、体はガッチリと拘束されている。
「潮を吹くなど、王子として恥ずべき事ですからな。我慢出来るようになるまで、わしが責任を持って導いて差し上げます。」
「ヒャア、やああ、ああ、ああ、やあああ!!」
プシュッ、シュウ…。
「何という我慢の無さか。これは厳しくしなければ…。」
「ヒッ、や、やめて、も、いやあ、アアア、いやあああ!!」
「おお、掛かってしまった。殿下、ご自分で出されたものはご自分で始末なさるべきでは?」
嫌だと思っても、恐怖が体を支配する。
「…な、何を、すれば良いのです。」
「舐めて綺麗になさい。」
「そんな…、ひ、酷い事はしないと…。」
「酷い事とは、殴る蹴るなどの暴行や、首を絞めたり、針を刺したり、何処かを切ったり、鞭や吊るし上げる事では?」
「ヒ…、、そ、そのような…。」
「怖がらずとも、私の側にいればそのような輩は近付きませんよ。
ああ、ただお気を付け下さいませ。貴方が敵国の王子である事は知れ渡っている。
安全なのは、私の側だけです。お分かりか?」
そんな事…、分かっている。
が、それでは、私はいつまで…。
首が締め付けられたような息苦しさを感じた。
痛いよりはマシだと、スウェインは濡れた下腹に舌を這わす。
無駄に表面が広い腹を舐め、胸を舐め、首を舐める。
「腕と足がまだですな。わしを舐める時は、美味そうに舐めよ。」
結局、股間はもちろん、足の指の間から脇まで体中を舐めさせられた。
「さて、そろそろ責任を取って頂くか。膝を抱えて、後口を曝すのだ。」
また、あの苦痛が。。
「うう…、、。」
歯を食い縛り、大人しく膝を抱える。
治癒で腫れの引いた後口に、申し訳程度に濡らされた指が、具合を確かめるように突き入れられた。
「おお、治癒を掛けるとやはり締まりがいい。しばらくは初物のままで楽しませてもらいますよ。さあ、私を感じなさい。」
そんな…、、
掛けられた治癒の意味を知った。
悲痛に涙を滲ませた目尻を雑に拭いながら、またペニスが後口に当てがわれた。
腰を乗せるようにして重心を掛けられると、ミシミシと音を立てるようにして、後口が開かれてゆく。
「さあ、ワシを受け入れよ、破瓜の悦びをよおく味わうがいい!」
「あっ、あう…、い、痛い、や、やだ、いやあああ、あぐうう!!」
ズブブ…、ズブ、ズブ…。
「ああ、良い、良いのう。これこそ破瓜の愉しみ。何度破っても良い、ヒヒヒ。」
その夜も絶望の中、スウェインは悲鳴をあげ続けた。
吐き出したもので濡れた体、ゴプリと後口から溢れて来る精。
抱き潰されて、心も体もバラバラになってしまったかのように感じた。
が…。
「まだ終わりではありませんな。」
満足そうな顔をした宰相が、腰を離しながら言った。
「……あ…、、う…。こ、これ以上、何をせよと…。」
まさか、また…。
恐ろしさに身がすくむ。
「種がまだ残っておりますぞ。」
「…、な、そのような…、ウグ…。」
仰向けに寝たスウェインの顔の前に、だらしなく垂れたペニスが突きつけられた。
…これで、おしまいだ。
ペニスの中の残滓を吸い取る。
すると、少しだけ上にずり上がり、口元に袋が来た。
ク…、
袋と中の睾丸を舐める。
ニヤリと笑った気配がして、また少し、ずりあがった。
そんな…、、
吐き気をこらえ、舌を伸ばす。
舌先でチロリチロリとソコを撫でるが、息が出来ない程に密着されて、正解を教えられた。
舌を全部使って、舐めてゆく。
「そのように、淫逸に…。ヒヒ。」
やっと解放された時には、指の一本さえ動かせない程の疲労だった。
それも、すぐに治癒を掛けられて、痛みも何もかも無かったように整えられた。
「明日からは13:00に執務室へ。その後仕事をします。貴方にこの魔道具をお貸し致します。」
美しい装飾の首飾りだ。
「腹の中を綺麗にしている事も、親密になる為の重要な仕事ですからな。」
そう耳の中に囁かれ、歯を食い縛る。
コレが…、私の勤め…。
やっと自室へ戻る。
国の為…。
涙が滲む。
穴という穴を犯され、精を飲まされ、かけられ、塗られ…。
不浄の穴まで舐めさせられた。
想像を超えた陵辱。
覚悟と、現実がどれ程違うのか、スウェインはやっと知った。
次の日、『勤め』の為、魔道具で腹の中を綺麗にし、服を着る。
顔色の悪い主人を心配してか、朝食兼昼食はスウェインの大好きなパンケーキだった。
目の前で熱い鉄板に生地が流され、プツプツと泡が浮かぶのを見るのも、ふっくらと焼き上がるのを待つのも好きだった。
「嬉しいな、今日はハチミツをたっぷり掛けてもいいかな。」
「ええどうぞ。でも、先にスープも召し上がって下さいませ。野菜をコトコト煮込んだアンデルセン特製でございます。」
苦労の影をその穏やかな眼差しの奥に隠し、初老の侍従が少し声を張ってスープを装った。
幼い頃から仕えた侍従は、何か勘付いているのだろう。
いや、何をされているのかも承知で、でも、何も言わないスウェインの気持ちを慮っているのかもしれない。
言ってどうにかできる事ならば、この優秀な侍従は既にどうにかしている筈。
そもそも、皆、ここにはそういう覚悟で来たのだ。
彼等は彼等で苦労もあるだろう。
苦痛の種類は違えど、耐えなければならないのが自分だけではない事は、火を見るより明らかだ。
「アンデルセン、ありがとう。やはり、すぐには慣れなくて少し気が重い。
が、父や皆のためだもの、私はこうして食事ができるだけでも、感謝しなくてはいけないな。」
「スウェイン様…、お辛い事もおありでしょう。こんな事しか出来ぬ己の身が、情けのう御座います。
さあ、暖かいうちに…。」
ハチミツを沢山掛けてくれて、ジャムも添えられた。
次の皿には鳥肉の薄切りや、ディップもある。
久しぶりに、お腹が空いた。
「いただきます。」
「どうぞ召し上がれ。」
ホカホカふわふわのパンケーキ。
昔は何かを頑張った時のご褒美だった。
目尻に増えたシワ、キッチリと纏められ結われた髪はもうだいぶ白いが、アンデルセンが焼いたパンケーキはやはり最高だ。
「変わらない味で、ホッとする。頑張れる気がするよ。」
「スウェイン様の誠実なお人柄が、いつかきっと実を結ぶでしょう。
長い人生には晴れもあれば雨もあり、凍える日もあれば渇く日もあります。
貝のように閉じ耐える日々も、花の咲かぬ日も、決して無駄にはなりません。
どうか、短慮をなさらず…、まあ、昔からそこは心配はしておりませんが。」
「アンデルセン、私は私や皆の命があるだけで、良しと考えているよ。」
「それは最高に喜ばしい事であります。私もです。
さあ、甘いものの次に必要なものは、塩気のあるものです。」
久しぶりに、笑った気がした。
言われた時間に、執務室のドアを叩いた。
「おはようございます。よろしくお願いします。」
「ああ時間通りですな、お入りなさい。」
侍従を下がらせられて、ドアがパタンと閉まる。
「おや、そんな地味な服を着ては、私までみすぼらしく見られてしまう。」
「も、申し訳、ありません。」
お金はあまり無い。
だが、祖国に負担を掛ける訳には…。
「まあいい、ここではワシが言う服を着なさい。」
「は、はい。」
服は用意して貰えるらしいと、ホッとした時だった。
が、
「さあ、服を脱ぎなさい。」
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