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花嫁か、生贄か

大臣が帰ってすぐ、宰相はスウェインの体に治癒と浄化を念入りに施させた。 腫れぼったくなって疼いていた乳首は治まり、出立直前まで犯されていた後口も腹の奥も、その違和感を拭い去った。 だが、スウェインの心は沈んでいった。 それは、新たな陵辱の始まりだからだ。 また、あのような…。 恐怖の記憶が反芻されていく。 その恐怖を煽るように、その夜は恭しく整えられ、飾られたベッドに座して待つように言われた。 白く長い布はレースで縁取られ、生花をあしらわれた。 まるで花嫁、いや、生贄か…。 身を捧げる為に腹の奥深くまで支度し、着飾って食われるのを待っている。 逃げる事も許されず、拒む事も出来ない。 …国の為。 そう思っても、歯がカチカチと音を立てる。 どうでもいい、痛みも何もかも。 私は貴方と一緒に死んだも同然なのだから…。 早く迎えに来て…。 いえ、私を、見ないで…。 こんな風に弄ばれる私を、どうか、見ないで…。 愛しい影に助けを求める事も出来ず、スウェインは体を震わせた。 ややあって、宰相が入って来た。 「ほほ、そのように飾り立てられて、まるで初夜の花嫁のようじゃ。さあ、花嫁よ、其方の夫が参ったぞ。契りの酒じゃ、飲むがいい。」 何かを、グラスに注がれた。 中身を知っていても、答えはひとつしかない。 「…は…い…、頂戴、致します。」 ひと想いに、それを飲み干す。 催淫剤、いや、強壮剤か。 「礼のひとつも言えぬのか。」 「あ、ありがとう、ございます。」 ……どうせなら、狂った方が楽なのに…。 が、宰相はそれをしない事も、もう分かっている。 「花嫁よ、後ろを向いて犬のように這え。」 そんな、まさか、そのまま突き入れられてしまうのだろうか…。 が、従順であり続ける事だけが、スウェインのできる事。 「は、はい…。」  恐怖を堪え、重い腰を上げて、四つん這いになった。 後口をグイと広げるように双丘を割り広げられた。 グ…、ツプ! 「あうっ!」 指…。 ホッと息を吐く。 「ヒヒ、指さえ容易に通さぬとは良いのう、やはり、穴は処女に限る。」 国のため…。 もう、アンデルセンはいない。 何度か出し入れされて、引き攣れる後口から指が抜かれた。 「お前に花嫁の悦びを与えてやるモノに、感謝の口付けをしなさい。」 「…はい…。」 下衣を解き、半勃ちの饐えた匂いのするペニスに舌を這わせる。 「おお、おお、従順な花嫁よ。さあ、もっと深く咥えよ。ああ、そうじゃ、こちらを見るのだ、良いぞ、ほら、喉奥も突いてやる。ヒヒ、可愛い花嫁よ、今日はたっぷりと可愛がってやろう。」 えずきを堪えて舌を這わせ、口の中で丹念に舐める。 「さて、そろそろ舞でも舞って貰おうか。 其方、大臣からようよう可愛がって貰ったようじゃのう。 自ら腰を振るなど、はしたない。 躾が甘かったらしい、誰が主かを分かっておらぬようじゃ。」 胸とペニスに飾りをつけられた。 私に、選択肢は、ないのだ…。 音楽が流れる。 艶やかな布をフワリフワリと振って大きく飛び跳ねる。 風に靡く服からのぞく色付いた尻を振り、くびれた腰をくねらせ、白い足をゆっくりと上げる。 動く度に、フルンフルンと敏感なペニスが揺れて、穿たれた何かの鋭い刺激に勃ち上がり、小さな乳首に付けられた胸の錘は、引っ張られるような感覚を与える。 カクリと、膝が萎えた。 「夫を喜ばせるのが妻の役目じゃ。出来ねば仕置きじゃ。それ!」 パン! 「アッ!…う。」 腰が引ければやり直しをさせられ、尻を打たれた。 まだ慣れぬ刺激は痛いばかりだ。 が、 「ご、ご指導を…、、ありがとう、ございます。」 礼を言わねばならないと、体が知っている。 「ヒヒ、毎晩夫が帰るのが楽しみになるよう尽くすのが、花嫁の勤め。ようよう心せよ。」 「わ、分かりました。」 涙と汗で濡れたスウェインを、宰相は風呂へと引き連れた。 「ほれ、其方の仕事じゃ。」 …いつもの、事…。 「………、はい、頂戴…、致します。」 スウェインは、再びペニスを咥えた。 「ヒヒ、従順な花嫁じゃ。こぼすなよ?」 言葉と共に、口の中に広がる不浄。 こぼした時には、酷い罰がある。 痛くないだけでもいい。 それに、今日はアレは無いようだ…。 最悪の掃除を思い浮かべて、息をひとつついた時だ。 「今日は座りっぱなしでだいぶ蒸れた。尻も綺麗にせよ。」 そんな…、最悪だ。 「……か、かしこ、まり、ました……、こ、こちらへ、どうぞ。」 スウェインは、マットの上に仰向けで横たわった。 宰相が、ニマリとして、それを見下ろす。 酸欠の恐怖とどうしようもない嫌悪感で、体が震える。 加減を間違えてくれと、何度祈ったか。 が、楽になれるかもしれないと思う度に、アンデルセンの顔が浮かぶ。 せめて、と、心を無くそうとしても、恐怖が込み上げて思うようにいかなかった。 スウェインは、目を閉じ、舌を伸ばした…。 宰相が、顔を跨いだ。 ペニスの裏筋を、伸ばした舌に擦り付けられる。 首を撫でるだらしない袋が口元に来れば、それを片方づつ咥えて、丹念に愛撫する。 酷い匂いだとしても、息を止められるよりはと舐め回す。 1番嫌なのは…。 「積極的で中々宜しい。」 そう言って、洗いもしない後口を舌に乗せてきた。 舌全体を使わねば、息を塞ぐようにのしかかられるから必死だ。 先日は、不興を買って、やっと息を吸えたと思った途端に、またのしかかられるのを繰り返された。 頭を足で挟まれれば、首を振ることも出来ず、それはそれは、苦しかった。 スウェインは、ベロリベロリと必死に舐め、窄まりと襞を舌先で舐める事を繰り返した。

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