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 彼は突然手を離し、此方の手を掴み自らの下着に掛ける。脱がせろと言うことなのか。 彼の下着を下ろすと、勢いよく其れが飛び出し、透明の先走りを零していた。血管が浮き出て脈打つ其れを触ればいいのか、手を掛けようとしたその時、彼の手が下着の中に滑り込んだ。指は、いつも其れを飲み込んでいる後孔に触れ、ゆっくり押し込まれる。 「……早く、ここで気持ちよくして……?」 「や、やだ今日慣らしてない……ッ、」 「じゃあ今ここで慣らして」 「へ、え……っ?」  急にそんなことを言うものだから、思わず頓狂な声が漏れてしまう。 彼が下着から手を抜き、近くの棚の引き出しからある物を取り出した。これ使って、と言わんばかりに手渡してきたのはローションだった。 何でそんなもの常備してるの。 いろいろ言いたいことはあったがひとまず抑え、彼からローションを受け取り恐る恐る問うた。 「こんなとこで……するの……?」 「ん?してよ」 「っ……わかったわよ……」 彼は、さも当然の如く肯定の返答をする。  仕方なく下着を脚から抜き、彼の身体に跨り膝立ちになる。ベッドがあまりにも狭く、大の大人の男性2人が余裕を持って横たわることもできないため、仕方なく彼の上で恥ずかしい姿を見せることになってしまった。 右手にローションの中身を出し、指に絡める。長いスカートが邪魔になるため左手で持ち上げた。自分でスカートの中を晒しているような状態になっているため、とても恥ずかしい。 ローションを絡めた指を前から秘孔に沈め、ゆっくり掻き回す。ぐちゅ、ぐちゅ、と水音が漏れるのが煩わしい。自分で慣らすことには慣れているが、行為をする彼の真上で、自分の指を使ってこんなことをしているという事実に羞恥心を掻き立てられ、彼の目をまともに見ることができない。 ゆっくり指を増やし、中の具合を考えながら其れを動かしていると、目の前にいる彼と行為することを考えてしまい、思わず違う快感を覚えてしまう。身体がびくびくと震え、甘い声が漏れて、グチュグチュと水音を立てて、気づいたら指を激しく出し入れしていた。  腰が立たず、彼の上に腰を落としてしまう。彼の勃ち上がる其れと自らのモノがくっ付き、ゆっくり腰を揺らすと更に快感が迫り来る。スカートを掴んでいた左手を下腹部に伸ばし、自らの先走りを指に搦め、2人分の其れの先を指で弄ぶ。彼が見ている、自分の恥ずかしい姿を。こんなことしてって言われてないのに、手が止まらない。 彼に体重を預け、自慰行為に耽っていると、突然彼が右手を引っ掴んで指を引き抜いた。 「ふふ、かわいー……けど、1人で盛り上がっちゃダメ」 「あ、あっ……礼央……ッ、」 「俺、慣らしてって言っただけなのに……何で?そういうの可愛いけどダメ、ただでさえイリヤ1人だけ何回もイって俺の事気持ちよくしてくれないのに……ねぇ何で1人で気持ちよくなってんの?ほんと淫乱だね……」 「っ、ごめ……なさ、」 「可愛いからいーけど、俺の目の前でこういうことしたかったの?」 「ちが……ぅ……、違うの……礼央……」 「ほんとに?あっそーだ……じゃあこれ付けて……」  彼は今の体勢のまま、先程の引き出しを開け中身を弄った。ガチャガチャと金属音が響き、何か嫌な予感が頭をよぎる。そもそも、その引き出しは何を入れているのか、気になってしょうがない。  暫くすると、ある物を見つけたようで其れをこちらに見せてくる。 「……なに、これ……」 「貞操帯」 「……は?なんでそんなの持ってんの……?」 「イリヤがもし浮気したらつけてやろうと思って買ったの、まぁ……浮気なんてしないと思ってるから、テキトーなタイミングで使おうかなって思って……、あ!そーだそーだ……勝手に一人でイきまくってるから俺が管理してあげるっていうのどう?ふふ、楽しそ……」 彼が目の前に出したのは、金属の輪がいくつも連なり、レザーで繋がれた謎のアクセサリー的なものだった。いや、アクセサリーなんて可愛いものじゃない、貞操帯と彼は言っていた。その目印に、レザーの一部から南京錠がぶら下がっている。 頭おかしいんじゃないの、と口をついて出てしまったが、今の彼の状態では多分聞こえていない。というか、聞いてても無視されている。  彼は上機嫌に鼻歌なんて歌いながら、カチャカチャと南京錠に鍵を刺して回し準備を始めている。 「ふざけないで……やだ、そんなのつけたくない……」 「だってさっきからエッチな声上げまくってるし1人で気持ちよくなってるし、お仕置き……声上げないでって言ったのに……」 「っ……だって、」 「普段なら許すけど、今日はダメ……ここ、壁薄いって言ったじゃん……」 「、ごめ、なさ……礼央の、気持ちよくするから、やだ……そんなの、つけたくない……」 「じゃあ俺より先にイかないで、できる?声も抑えてよ……」 「ッ……ん、っ……」 言われるがまま首を縦に振ると、彼は先程の貞操帯をベッドの外に放り投げた。 ガチャンと耳に痛い音が静かな室内に響き渡る。 物の扱いが荒い男だとふと思っていると、彼の両手がスカートの中に入り、双丘を掴んで自身の勃ち上がる其れを割り入れてきた。先程慣らした秘孔に熱を持った其れが埋め込まれていくのを、ただただ彼の上で受け入れるしかできず、唇を噛み、漏れそうな声を押し殺す。  全て飲み込まれたのと同時に腰を突き上げられ、突然襲い来る快感に思わず目を丸くした。 「ッーーーー!!まっ、てぇ、ッあ……!っんぅ……!」 「頑張れ、っ、イリヤ、ッ、腰……いっぱい動かして、俺の、気持ちよくして、ね?」 「ん、ぅ、ッん……!うッ、くぅ……ッ、!」 どうしても声が漏れそうになり、唇を噛むだけではなく左手で口許を抑える。普段、声を出さずにここまで激しく性交することがあまりないため、どうしていいか分からない。兎に角声を漏らさないように必死に堪えていたが、快感の方が限界に近づいてしまい、此方もどう堪えたらいいか分からず自らの其れの根元を右手で強く握った。 「そんなに貞操帯やなの?自分でおちんぽ握って止めるの大変でしょ?いーんだよ、付けても……」 「ん、んッ……」 「せめて返事してよ……」 「ッ、んぅッ、く……ぅ、ッ、う……っ♡」 自分で身体を動かせず、彼が下から何度も突き上げるのを耐えながら頭を下に振ると、その反応が不服なようで声を出せと言わんばかりに激しく抽挿を繰り返される。  今、手を離してしまうと絶対に声が出てしまう、そういうのを分かってて彼はこういうことをしてくるから本当に意地が悪い。何でこんな男を好きになってしまったのかが分からなくなりそうなところで、彼はさらに追い打ちを掛けてきた。 「はぁ……まぁ声出すなって言ったの俺だし、耐えてるイリヤかわいーし……俺もお手伝いしてあげる」 「ーーッ!!?」 彼は突然ブラウスのボタンを外し始め、上半身を晒して中に手を入れてきた。先程散々弄ってきた胸の突起をまた弄り出したのだ。嫌もやめても言えないこんな状況でただひたすら快楽を与えられ続け、彼の身体に涙を落として身を捩ることしかできない。 「ふふ、中締まった……かわいーね、イリヤ……女の子みたい」 「んっ……!んぅ……っ♡」 「乳首気持ちいい……?」 「ふ、ぅっ……んんッ♡うくッ……♡」 「可愛い……その顔、すっごく可愛い……気持ちよくってとろとろになった顔、可愛い……、」  彼は突然身体を起こし、此方の左手を掴んで口許から離した。突き上げられてた動きが止まり、呼吸を整えていると、急に彼が背中に手を回し耳を甘噛みしてきた。 普段より熱を持った吐息が擽ったく、汗ばんだ熱い身体が密着する。じんわりと彼の身体の熱を感じながら、相変わらず少し低く掠れた声を、熱に浮かされた頭でぼんやりと聞いていた。 「はぁ……かわい、イリヤ……ねぇ、イきたい?」 「あッ……やだまっ……っくぅ……あぁあ……!」 あまりにも耳許で優しく囁かれるものだから、思わず自らを握っていた左手の力が抜けてしまう。そのせいで、先程から我慢していた欲が急に溢れ出し、互いの腹に白濁をぶちまけてしまった。 「……あれ、イったの……?」 「……、い、……っ、ちゃ……った……、ッ、あ……ごめ、なさ……!あたし、先……」 絶頂を迎えた衝撃で暫く頭が回らず、我に返った時には彼に言われていた、「俺より先にイかないで」という発言を思い出し、慌てて謝罪していた。  彼は頬を紅潮させ、汗に塗れた顔を乱暴に手で拭い、額に貼り付けてあった剥がれかけの冷却シートを剥がしてまた床に放り投げる。 彼も絶頂を迎えそうなところで自分が止めてしまったからなのか、少しだけ機嫌悪そうに眉間に皺を寄せていた。 そのまま体勢を変えられ、彼に押し倒されるような形でのしかかられて腰をゆるゆると動かされる。 「ん、ぁ……ッ、やぁ……」 「はぁ……イリヤほんとダメな子だね……かわい、ッげほ……」 「っ、礼央……だいじょ、」 「ん、へーきだよ……けほっ、ちょっと……興奮しすぎたのかな、イリヤかわいいから……」  咳がぶり返したらしく、彼は口許を手で覆って顔を逸らして咳き込んだ。何度も咳き込むものだから逆に此方が心配になり、ゆっくり彼のものを抜いて近くにあったタオルで汗まみれの身体を拭き上げる。 行為を辞めた方がいいんじゃないかとすら思うが、彼は辞める気はないらしく、此方を縋るような瞳で見つめてくる。どうにかしてくれと言わんばかりに見つめてくるから、此方が折れるしかなく、仕方なく四つん這いになりスカートを捲った。 「……、じゃ……後ろから、する?」 「……する!」  彼はぱぁっと顔を明るくし、腰を掴んで自身を後孔に沈めていく。熱が上がってるのか、先程より熱を持つ其れが後ろから奥の一点を擦り上げ、何度も打ち付けられる。  どうしても声が抑えきれず、近くにあった枕に顔を埋め、ひたすらに襲い来る快楽に鳴き喚くしかできなかった。 「うっ、くぅッ、あぁだめぇ!そこ、そこやだぁ!」 「ッ、……ッげほ……ッ、はぁ……、ゴホッ……」 「ッあぁ……!あっ……!やっ!」  彼は両腕を掴んで引っ張り、さらに奥を突くように腰を埋めた。この体位で行為をしたことがなく、自らも今まで味わったことのない快楽に再度絶頂を迎えそうになる。 「やば、後ろ……きもちい……ゲホッ……」 「ひぁ、……ッ!まって、そこ、何度も、やぁ、っ♡」 「ッゲホ……っごほ……ッ、!ごめ、っ……ん、やば……っ、あ……いきそ……」 「やっ!ぁ……ッ!おく、やだッ、あついの!やだぁ!あっあぁ……ッ~~~~!♡」 「……っ、はぁ……っ、ん……ぅ、くぅ……ッーーーー!」 彼に両腕を強く引っ張られ、最奥に精を吐き出される。自らもベッドの上に精を吐き出し、呼吸を整えていると、突然背中に重みを感じ、そのままベッドに身体を沈める。彼がのしかかってきたらしく、首だけを其方に向けると、先程より顔を紅潮させ虚ろな瞳で此方を見つめ、ぼそぼそと蚊の鳴くような声で、小さく呟いていた。 「……、イリヤ……ほんとに、かわいー……きもちーのに、弱いとこ……おれ、すきだな……」  それだけ言い残し、彼は狭いベッドの更に狭い隙間に身体を沈め、目を閉じてしまった。ずるりと引き抜かれた其れはローションと自らの白濁でどろどろになっているにも関わらず、彼は微動だにしない。 「え、待って礼央……礼央っ!?ちょっと!礼央!?」  まさかと思い、彼の口許に耳を当てたらすう、と吐息が返ってくる。彼は眠ってしまったようだ。 一瞬、死んでしまったのかと縁起でもないことを考えていたが眠っているなら一安心だ。だが、自らの汗と精液に塗れた服やシーツ、床に放り投げられたタオルや冷却シートその他諸々を放置して帰る訳にはいかず、一人寂しく後片付けをする羽目になってしまった。 「……、礼央、一人暮らしならアタシの服置かせてもらおうかしら」 そんなことを独りごちて、着ていた服を脱ぎ、洗濯機に勝手に放り込み回した。

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