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高槻礼央は赦されたい①
現在、僕は愛しい恋人とデートをしている。
恋人である彼とは通う大学が同じではあるが、専攻している学部がお互いに違う。それぞれの予定を合わせられずに気付いたら早数週間、彼と顔を合わせていなかった。
さすがに此方としてもそろそろ彼に会いたいと思い、強引に予定を合わせ、デートにこじつけた。映画を観たいわけでも、買い物に行きたいわけでもなく、とにかく彼と1秒でも長く過ごしたい、ただそれだけだった。それは彼も同じだったようで、普段にも増して濃いメイクの気合いが入った姿を久々に見掛けた瞬間、あまりの可愛さに絶句してしまった。
彼のこんな姿をあまり他人に見せたくはないのだが、束縛の強すぎる男だと思われたくないので、いつも通り彼の買い物に付き合ったりカフェで昼食を摂ったりする。
次は何処へ行こうかと、商業施設やビルが立ち並んだ人通りの多い道を歩いていたら、柔らかいウェーブを描く、艶めいた銀髪が此方の左肩にふわりと寄り掛かり、宝石の如く美しい蒼眼が此方を射抜いていた。その持ち主は瞼を深い臙脂色に染め、星屑の如く散りばめられたラメが光を反射させ、その美麗な目許をより美しく魅せていた。
ふと、そんな彼の方に首を向ける。相変わらず僕の恋人は可愛いなと独りごちていたが、普段と明らかに様子が違うところが一つだけあった。使っている化粧品の違いでも、柔らかいクリーム色のニット素材のトップスやフリルとレースがふんだんにあしらわれたスカートでも、鼻腔を掠める香水の香りでもなく。
「ねぇ……れーお……♡」
この甘ったるい猫撫で声と、明らかに上気している頬の赤みだ。
チークなどではなく、耳まで紅潮し、如何にも欲情しているのではと言わんばかりのこの姿。此方の左腕に両腕を絡ませて、少しばかり潤んだ瞳を向ける彼に思わず声を掛けた。
「……今日のイリヤ、ずっと思ってたんだけどさ、何かいつもと違くない?」
「んー?そんなことないわよぉ……?」
「いやそんなことあるよ!?どうしたの?普段俺と腕組んで歩いてくれないのに!?嬉しいけど!!」
「何よ……嬉しいならいいじゃない♡」
「いやいやいやいや!」
「こういうの……嫌いかしら?」
「好きだけど!!」
そんな彼と不毛な押し問答をし、いつも通りのデートコースの最後の締め括りへと足を進める。
辺りは薄暗くなり、ネオン街の灯りがちらほらと輝き始める頃、ビルが立ち並ぶ歓楽街へと足を踏み入れた。もしかすると彼はこれを期待していたのではなかろうか、と此方も期待に胸を膨らませて、とある建物の中へと足を踏み入れた。
「イリヤ……どの部屋にしよっか」
「別に何でもいいわよ」
「そぉ?じゃあいちばん高いところにする?」
「いちばん安いところでいいわ……」
「えぇ~、いつもそうじゃん……ほんとにいいの?」
「いいわよ何処でも……」
「そっかぁ、そんなに早くしたいんだ?」
「……、」
「分かったよ、じゃあ此処でいっか」
彼が顔を更に紅潮させて、左腕を強く掴むものだからそろそろ理性が保てず、彼の誘導するままに一番値段設定が低い部屋のボタンを押した。
彼がこんなにも誘ってくるものだから、さぞかし今日は盛り上がるだろうと期待に胸を躍らせていた。
エレベーターに乗り、相変わらずそわつく彼の様子を一瞥し、望みの階数で降りて例の部屋の扉の前に着いた。ドアノブを引き、部屋に上がり込んだ瞬間、彼は此方の腕から身体を離して辺りを見回し始めた。
そして、改めて腕を引っ張って浴室へと誘導し始めたのだ。
「……礼央、シャワー浴びてきて……」
「?イリヤも浴びようよ」
「……アタシ、待ってるから……」
「……なんで?いつも一緒にシャワー浴びるのに……」
「いいから!早く!……ねぇ、早くシたいからぁ……お願い♡」
「…………、分かったよ」
彼に上目遣いでそう強請られると此方も抵抗する訳にはいかず、渋々浴室に足を進めていたらそのまま押し込まれて扉を乱暴に閉められた。
彼の足音が遠のくのをただ立ち尽くして聞いていたが、やはり彼の様子が気になる為、暫く間を置いてから扉を開く。
「……、やっぱりイリヤ様子がおかしい!ねぇどうしたの!?俺変なことした!?」
「れ、礼央……!?」
「イリヤ……?」
「ッ見ないで……ばか……!」
ベッドに腰掛け、下腹部に手を掛ける彼は此方に気付くなり突然声を荒げ、スカートで其処を覆い隠す。先程よりも顔を真っ赤に染め、目に涙を溜めながら近寄らないでと抵抗する彼を無視して、彼の両腕を掴み持ち上げた。
彼の右手に握られていたのは、小さな鍵だった。
其れを一瞥し、彼の右手を離してスカートを乱暴に捲り上げる。下腹部の状態を見る為に、ベッドに這い上がって、来るなと言わんばかりに胸部を押して抵抗をする彼の両膝を掴み、無理矢理拡げた。
そこには、想像もしていなかった光景が広がっていた。
「……なにこれ……?」
彼の下腹部には、簡易的なプラスチックの貞操器具が付けられており、既に鍵は外されていた。其れを完全に取り外そうとしていた所を邪魔してしまったようで、其処に目を遣ると、はち切れんばかりに膨らんだ睾丸とプラスチックの筒に詰め込まれた肉棒がやけに生々しく映る。
太腿に情けなく絡みついた女性用下着をそのままに、彼は此方に一切目を向けず、声を震わせ小さく呟いた。
「ッ、あっちいってってば……何でいつもアンタは空気が読めないのよ……ばか……馬鹿、ばかばかばか……」
「……何でこんなのつけてんの?」
「……、教えない……」
「教えてよ、何で?」
「やだ……」
「……こーゆうプレイ好きなの?」
「ち、ちが……違う……ッ、」
「じゃあ何で」
相変わらず此方に目を合わせず、股を開かされたまま下腹部のプラスチックに手を掛ける彼に尋問をするが、一向に口を割ろうとしない。
暫くの後、プラスチックの器具を下腹部から取り外した彼は、剥き出しになった肉棒をやわやわと握りながら此方にやっと目を向ける。
「……、家……出る時、久しぶり……だったから、礼央とデートするの……、ずっと、勃起……収まらなくて……、遅刻しちゃうって思ったから……つい……」
彼は、声を震わせて自らの恥辱に塗れた行いを告白する。
そんな彼の姿があまりにも可愛くて、つい抑えきれずに膝を掴んでいた手を離して彼の背中に回した。ぎゅうと力を込めて抱き締め、彼の胸に顔を埋めた。
「……何それ、めちゃくちゃ可愛い」
「っ、うるさい……」
「別に遅刻してもいいのに」
「うるさい……、アンタ……いつも来るの早いし、抜いても抜いても収まらないし……もうわけわかんなくなっちゃって……」
ぐず、と鼻を鳴らして更に告白を続ける彼の艶めく銀髪に優しく指を通す。目尻に浮かぶ涙を唇で掬い、優しく舐め上げると擽ったいと言わんばかりに身を捩った。
「……あー、何それほんと可愛いんだけど……イリヤ……」
「だからうるさいってば……」
「ごめんごめん、でも恋人からそういうの訊いちゃったら可愛いって思うし……我慢できない」
「ッ……」
「でもシャワー浴びてないから、途中までやろ……」
「途中……?」
「胸、触らせて……」
ベッドの上で抱き寄せた彼の身体を一度離し、やわやわとニット越しに両胸を揉みしだく。ニットの下に肌着をつけていないのか、彼は身体をびくりと震わせて更に身を捩った。
「……っ待って、胸は……!」
「服の上からでいいから……」
「や、ッ待ってってば!」
「なんで?まだ何か隠してるの?」
「……、」
先程以上に激しく抵抗をする彼の意向を無視して、ニットをたくし上げて胸部を全て外に晒す。今更、何をそんなに恥ずかしがることがあるのかと思い、晒した其処に目を遣った。
彼の胸には、2つの突起を隠すように絆創膏が貼られていたのだった。
「……なにこれ、えっろ……」
「ッ、……最悪」
「いやこんなん見せられたら無理なんだけど、剥がす」
「待って!やだ!剥がさないでばか!」
「剥がさないと触れないんだけど」
「触んなくていいから!」
「何それ意味わかんない、あんだけ誘っておいてラブホ連れてきたらずっと抵抗してくんの意味わかんなすぎでしょ……」
彼はじたばたと暴れ回っていたが、先程の貞操器具から解放された下腹部を太腿で押し付けると途端に動きが止んだ。敏感になっている其れを射精しないように我慢している隙に、剥がれかけていた左右の絆創膏を引き剥がす。
「ッッ!?」
「あーあ……イリヤのえっちな乳首、丸見え」
「ッ……最低……!」
「どこが最低?最高でしょ……?こうやって、俺に……自分のえっちな姿、いっぱいバラされて……気持ちよくさせられるの、イリヤ好きじゃん……ねぇ?好きでしょ……ほら、勃起してる……」
ぷっくりと膨らむ両胸の赤い突起と、フリルとレースがあしらわれたスカートを持ち上げて存在を主張する下腹部を一瞥し、彼の腕を引っ張って俯せにする。白いシーツに顔を伏せて暴言を吐く彼の背後に身体を寄せ、スカートの上から既に勃起した自身をズボンの布越しに押し付けた。
「ねぇ……ほら、イリヤがえろすぎるから……俺の勃っちゃった」
「……最低……!へんたい!押し付けないで……!ド変態ッ!」
「変態はイリヤでしょ?俺に会えるってだけで抜きまくってんの、どう考えても変態じゃん……何?本当に俺のこと好きなんだね……此処もさ、こんなに硬くして……ほら、こーされると気持ちよくてたまんないでしょ……?」
伏せられた彼の胸元に両手を伸ばし、左右の突起をそれぞれ弄る。此方からは胸元が見えず、手探りで其れを探り当てて中指と人差し指で強く摘み上げた。
「ッん……、ひぅぅ……ッ!」
「あは……えっろい声上げちゃって、可愛い……」
「あ、あぁ、あぁあァ……」
喉奥から高い声を漏らし、腰を浮かして先程から宛がっている下腹部の其れを擦るように前後に揺らす様は、どう考えても此方を誘っており、思わず胸にあった両手を離し、右手をスカートに掛けてずり下ろしてベッドの外に放り投げた。
白く、柔らかな双丘がびくびくと震え、思わず割れ目に両の親指を捩じ込み、力を加えて引っ張り其処を暴く。濡れそぼり、こぷりと透明の粘液を溢れさせる赤く熟れた秘孔を、親指の腹で優しく愛おしむように擦り上げた。
「あは……今日もちゃんと慣らしてきてるんだ、いい子いい子……♡」
「は……ぁ、ぁ……っく……ぅ、」
「久し振りに見た……イリヤの可愛いおまんこ……♡」
「……ぁ、……ッ、や……ぁだ……」
「お尻の穴見られるの嫌なの、今すぐにでもちんぽ挿れて欲しそうにしてるのに……」
「ッ、うるさ……ぃ……っ、」
口先だけでは何度も抵抗をしているが、親指を動かす度に何度も其処をヒクヒクと開閉させて、仕込んだローションを零れさせるその姿は今すぐにでも挿入されたいと言わんばかりである。
身体を起こして胡座を掻き、減らず口ばかりを叩く彼の身体を持ち上げて股の間に座らせた。彼の置き去りにしていた胸の突起に人差し指の爪を引っ掛け、何度も弾くように擦ると背を弓なりにし、甲高く悲鳴にも似た嬌声を上げた。
「ッあ゙ァあ……!!」
「ねぇ、イリヤのえっちな乳首……先っぽ真っ赤で割れてる……はぁ、えっろ……もっと俺が可愛がってあげる……ほら、此処……イリヤの乳首の先っぽ、イけるまで可愛がってあげるから」
「あ゙、あはぁ……♡いぎゅぅぅ……♡んぉ……おぉっお゙……♡」
カリカリと爪の先で何度も両の突起を甚振り続ける。彼は腰を上下させ、固く質量の増した肉棒の先から我慢汁を飛ばしてシーツを汚した。
「あ゙♡ぁ……あぁ♡さきっぽぎもぢぃ……♡、いく……いくぅ……いくいくいく、イクイグイグ、いく、いく、いきた、ぁ、ッいきたぃぃ♡い゙ぐッ、あ゙、ァ、ア゙……ぁあぁ……ぇあ……あぁあァ゙……♡」
突然、彼は腰をガクガクと痙攣させ、今までに聞いた事のないような快楽に溺れた掠れ声を漏らし、目を見開いて今まで溜め込んだ精液を容赦なく噴射させたのだった。どぴゅ、どぴゅ、と絶えず不規則に噴射された其れは胸元まで掛かり、持ち上げていたニットまで存分に汚す。
びく、びくっ、と全身を痙攣させて閉じられない口から泡立つ涎をたらたらと零し、赤く濡れた舌を天に突き上げて絶頂に狂乱する姿は、今まで見た彼のどの姿よりも下品で、それなのに淫靡で、愛おしくて堪らなかった。
今の今まで、我慢し続けていた快楽を突然大量に与えられ、想定外の早さで絶頂を迎えた彼は、既に意識が朦朧としているようで此方にもたれ掛かり息を整えていた。
「……、いっぱい出たね……イリヤ……」
「ぁ……ぁ、……はぁ……、はぁ……ッ、」
「俺に触られてそんなに気持ちよかったの?」
「あ……ぁ、……あたし……、ちくびで、いっちゃ……たァ……」
「そーだね、こんなとこ擦られただけなのに、今までで1番下品な声出してイっちゃったね……普段俺とする時、そんな声出さないのに……」
とろんと蕩けた表情を此方に向けて、心底快楽に溺れていた彼の姿を見ていると、自らとの性行為での快感の覚え方と違うことに嫉妬心がふつふつと湧き上がる。
ある程度息が整い、会話ができる程になった彼の精液で汚れた身体も構わず、先程散々虐め尽くした胸の突起を親指と中指で摘み、上に引っ張る。グリグリと力の限り抓った上で人差し指の爪を割れ目に押し込んで引っ掻く、を何度も繰り返した。
「あ゙!あひ……!んァ……あ゙ぁっ!?」
「……イリヤ、乳首弱すぎ」
「、んお゙ぉ……ッ!?んぁあ……♡あへぁ……あひぃ……らめ、らめぇ……♡」
「イリヤのド変態、何で俺のちんぽ挿れた時より気持ちいいって反応してるの……ほんと許せないんだけど」
彼は先程絶頂を迎えたにも関わらず、目を見開き背筋をあらん限り反らし、乾いた白濁液がこびり付き、赤黒く質量を増した肉棒を腹にべちべちと打ち付け、絶えず腰を痙攣させる。
そんな姿が可愛いなんて言ってられず、湧き上がる嫉妬心を抑えきれずぎりぎりと胸の突起を強く捻る。
「ッいひゃ、ぃ……、ふぅ……ッ、く、ぅ……、ゥ……んぅ……ッ、」
彼は痛みに耐えきれず、大粒の涙をぼろぼろと零しながら苦痛混じりの呻き声を漏らす。首を下に傾けたら、彼の柔らかい上衣が肌を擽った。
彼の晒された首筋に鼻先を近付けて、すう、と空気を吸い込む。其処はいつも付けている香水のムスクと、汗混じりの体臭が混ざり合って芳香を放っていた。
彼の汗が伝う首筋に歯を突き立て、甘噛みして筋を舐め上げると先程とは違う反応を見せた。ふるふると身体を震わせ、甘い声を小さく息絶え絶えに上げている。
「……、イリヤ……これ痛い?」
「あ゙、ぁ……ァ……、あ♡」
ろくに返事をしない彼の熱を持ち腫れ上がった突起を、人差し指の腹で優しくくるくると撫ぜる。
「……ちくび、しゅご……ぃ、ちくびきもち、ちくびぃ、ちくびイキまたしちゃぅのぉ……♡」
先程とは違い、臙脂色の瞼を薄らと開けて涙を零し、だらしなく口を開け、太腿を固く閉じて絶頂を迎えようとする彼から手を離した。待ち侘びていた絶頂をいきなりお預けされた彼は、徐ろに自らの胸元に手を伸ばそうとする。それを制止するように彼の両手を掴み、耳許で小さくこう呟いた。
「……もう此処でイっちゃだめ」
「……な、んで……、……ずっと、さわってきてた……くせに……」
「俺がもう我慢できないから」
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