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番外編 元祖破天荒と新破天荒 2
「ほら、ここで合ってたでしょ?ルイに山狼族がこの辺りで見つかったって聞いて、やっぱりあたしの勘は正しかったって思ったのよね~」
「おおっ!やっぱりここか!上手いこと隠れてやがったんだな。微妙に見つけにくい場所だしよ」
えっ?!カグラじゃん!!で、この魔王様そっくりの人は・・・
「・・・ジュン様、カグラも・・・」
ルイのこめかみがヒクついてる。
そうだよなっ?前世のMAGのライブで見たジュン様よりかなり若いけど、どう見てもジュン様だよ!えっと、カグラのお祖父さんのはずだよな??
そうか、魔族は人族より寿命が長く、しかも魔力が高いと更に延びるから若いままなんだ。若いジュン様も色気がエグいな。
魔王様とほぼ同じ顔なのに全然印象が違う。魔王様は本当に魔王らしい完璧魔王で、ジュン様は・・・あぁそうだ、確か前魔王様は「艶麗なる魔王」って呼ばれてたんだっけ?ちょっと中二病っぽいけど、それがピッタリと当てはまるな。
「ようルイ!今日お前らが山狼族の所に遊びに行くって聞いてよ。
さっきカグラと話をして思い出したんだが、おれも山狼族を探してた頃があってな。んで、カグラもだとよ。違う時期にだが、二人ともこの山峡辺りだと目星をつけてたんだな~これが。
結局、おれもカグラも見つけられなかったんだけどよ」
「ルイもショウもはっきりと場所を教えてくれないんだもん。答え合わせをしてみたくなったのよね~
まっ、ジュン様とあたしが同じ場所を当たりだと思った時点で絶対に間違いないって思ったけど、やっぱり合ってた!」
「はぁっ・・・」
ルイが大きなため息をついた。
「もう、何でこうなるかな・・・カグラだけじゃなくてジュン様まで・・・」
「おっ?狼にデカいワンコじゃねぇか!いいねぇ!来たかいがあったわ。で、そいつらが山狼族か?
おれはジュン。一応、前魔王だ。こっちは契約精霊のキル。ライオンと狼の初対面だな。まっ、よろしく頼むぜ」
そう言ってケンショーさんに手を差し出すジュン様。何ていうか、本当に自由だな。
「あっ!ジュン様ずる~い。あたしにもあいさつさせてよ!あたしはカグラ。で、こっちはホワイトライオンのミミ。
えっと、あなたがアスミね?ルイに聞いたわよ。前世のあたしと友だちだったんでしょ?なら、そのあたしと同じ扱いでいいから。トワもそうしてるんだから遠慮しないように。分かった?
で、この男前がアスミの番で山狼族の長のケンショーさん、双子はシーナとシーアね?
それに狼がリューで、大きいワンちゃんがナンとアンでしょ?」
カグラがドヤ顔で俺を見ている・・・え~っと、ルイ助けてっ!!・・・ルイが首を振っている。諦めろって表情だ・・・だよな。
「うはは!面白れぇなっ!そうだよ。オレが山狼族の長、ケンショーだ。それとリューな。前魔王の兄ちゃんも魔族の嬢ちゃんも気に入った!
しかもオレ、覚えてるんだよな~兄ちゃんが来た時も嬢ちゃんが来た時も。
すんげぇ魔力の塊みたいなヤツがこの山峡をウロウロしてたからよ、慌てて隠蔽魔法を強くしたんだよ。
いや~あせったわ。流石にあんたらが集落を攻めて来たらオレ一人で対処出来ねぇし。別々で助かった。二人で来られたら逃げて集落の場所変えてたんじゃねぇかな」
「おう!おれもあの時、もうちょっとで見つかりそうだったのに完全に惑わされたの覚えてんぞ」
「あたしもあたしも!!不思議だったのよね~絶対ここだって思ったのに、いきなり位置がブレまくるんだもん。
そっか~長の魔法だったんだ。分からなかったな~山に惑わされたのかと思ってた」
あぁ、流石カグラだ。サラッと本質を見抜いてやがる。ケンショーさんの魔法は山の意思と共鳴して強くなるからな。
「ねえねえ!集落に入るのは無理でも、近くまでは行けるんでしょ?まだ行かないの?早く行きましょうよ。それに、他の犬科動物の精霊にも会いたいんだけどな~」
行こうとしたらカグラとジュン様が来たんだよっ!ってツッコミたかったけど、流石に言えなかった。
そんな俺の肩を抱いてケンショーさんが言う。
「よしっ!山を案内するか。リュー、他の精霊を連れて好きな道を行っていいぞ。オレたちは歩いて行くからな。滝の下で合流だ。
精霊は、獣道を走りたいヤツだけリューに付いて行け。契約者と一緒の方が良ければ行かなくていいぞ」
リューが契約精霊を見渡して言う。
「私に付いて来るヤツは誰だ?」
心なしかジュン様のキルとカグラのミミを挑発しているような・・・
「もちろん行くぞ」
「当たり前じゃない」
あっ、やっぱりね。キルとミミが即答した。
「「アタシたちも行きます」」
ナンとアンの声が揃う。
「ん~僕はいいや。獣道を走るより飛んでた方が楽だし」
ミイの言葉に一瞬へにゃりと尻尾がたれたが、キルとミミの目を気にしてすぐに持ち直したリュー。犬科動物の長としてのプライドかな?
ヤヤとリンクもミイと同じで人と一緒にハイキング組。うん、シーアさんが喜んでるよ。密かにシーナさんも。
ベルは迷っていたけど、ルイに「キルとミミに付いて行って欲しい」と頼まれ、獣道組になった・・・やっぱり契約精霊も破天荒なの??
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