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お試しプレイ2

つい先刻まで椅子が向かい合わせで二重円に並べられていた会場は、複数のスタッフにより椅子が取り下げられ変わりにブースカーテンで区切られ20ヶ所くらいの小さな空間が作られていった。 「澤木幸成さん。こちらのブースにお願いします」 案内された空間に待っていたのは… まあいたって普通の人。可もなく不可もなく…って感じ? 怖い感じがしないだけマシ…かな? 1人目の相手としては申し分無い… たしか、、 ぐるっと一周挨拶タイムではアニメが好きって言うので盛り上がった。 とは言え…今は何をして何を話したら… 不安で立ち尽くしたまま幸成がキョロキョロとまわりを見ていると ブース内に声が響いた 「look(ルック・見て)」 ビクンー 体が反応する。 コマンドだ…ぼくは相手の目に釘付けになった 「あー…やっぱり、挨拶タイムの時も思ったけどきみかわいいな。うん…その、猫目がなんとも言えない…かわいいよ。 さっきはあまり視線を合わせてくれない感じだったから…よく見てみたかった。good」 ドクンー なんだろ?goodと言われてもときめかないし、幸せ感がまるでない 一応、褒められた…って言う気にはなるけど… 褒められればもっと幸せな気分になるはずなのに なんだか…物足りない 「さあ、こちらへもっと近くにcome(カム・おいで)」 繰り出されたコマンドに誘導され、幸成はふらふらと目の前の男の近くに寄った 「good boy」 相手の男の手が幸成の頭の上に乗せられたところで音楽が鳴った。 どうやら、1回目のお試しタイムは終了らしい… この人とは…無いな 幸成はメモに×を書きスタッフに渡すと、次のブースへと移動した。

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